タス通信記者「準備はできている。戻ってきてくれ」–プーチン大統領発言の日本の受け止めを質問

日ロ関係

12日に行われた岩屋毅外務大臣の記者会見で、ロシアのタス通信の記者が、先の「ヴァルダイ会議」でプーチン大統領が日ロ関係について「準備はできている。戻ってきてくれ」と発言したことなどについて、日本側の受け止めを質問した。

(以下、岩屋外務大臣会見記録から)
【タス通信 アガフォノ記者】日露関係についてお伺いします。ロシアのプーチン大統領は、7日、「バルダイ会議」で、対日関係構築の用意があるという発言がありました。「日本が経済を悪化しているにもかかわらず、私達は何もしない」、「日本との関係を築いていく用意がある」、「準備はできている。戻ってきてくれ」という発言がありました。政府の受け止め、また今後の対露外交についてお聞かせください。
【岩屋外務大臣】今、御指摘がありましたプーチン大統領の「ヴァルダイ会議」での発言は、報道を通じて承知しております。
 報道を見る限りにおいては、少し前向きの御発言をなさったのかなというふうにも感じますけれども、現在のウクライナの事態というのは、ウクライナ侵略、ロシアによる明白な国際法違反、国連憲章違反の侵略に起因して、発生しているものだと考えておりますので、何か、我が国の方に原因があって、日露関係がうまくいってないという御趣旨の御発言であれば、それは当たらないと思っているところです。
 我が国は、一日も早く、ウクライナの公正かつ永続的な平和を実現をすべく、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携して、ウクライナに強力な支援を行っていきたいと思っておりますし、この現状が、変わっていかない限りにおいては、厳しい対露制裁も科していかざるを得ないと考えているところです。
 一方で、日露間には、他にも懸案事項がありますし、隣国であるロシアとの意思疎通は必要だと思っておりますので、引き続いて、我が国外交全体において、何が我が国の国益に資するかという観点から、適切に対応していきたいと思っているところです。
(※以下、次の質問者への回答に先立ち、補足して発言した)
【岩屋外務大臣】その前に、先ほどのタス通信さんへのお答えの中で、要すれば、日本の方針・考え方というのは変わっていないわけでありまして、北方領土問題に関しては、四島の帰属の問題を解決して、平和条約を締結していく、という方針を、これからも堅持していきたいと思っております。

このやり取りを受けて、タス通信は以下のように報道している。

日本外務省、ロシアとの平和条約締結に向けた方針維持を表明
(タス通信2024/11/12)
日本政府は、クリル諸島南部(※北方領土)の「帰属問題を解決」し、平和条約を締結するという方針を維持する。タス通信の記者の質問に岩屋毅外務大臣が答えた。

「日本の政策は変わっていない。『北方領土』(日本ではクリル諸島の南部をこう呼んでいる – TASS通信)に関しては、北方四島の帰属問題を解決し、平和条約を締結するという方針を堅持する」と述べた。

モスクワと東京は、第二次世界大戦後の 20 世紀半ばから平和条約締結の交渉を続けてきた。これに対する主な障害は、クリル諸島南部の権利をめぐる意見の相違である。終戦後、クリル諸島全体がソ連に編入されたが、日本は択捉島、国後島、色丹島および無人島の小群(歯舞群島)の帰属を争っている。ロシア外務省は、国際法上根拠を有するこれらの領土に対するロシアの主権は疑う余地がないと繰り返し強調してきた。

ウクライナ情勢をめぐって日本が対ロシア制裁を発動したことを受けて、ロシアは平和条約に関する日本との協議を停止した。また、モスクワは南クリル諸島での共同経済活動に関する日本との協議から撤退し、分野別対話のための黒海経済協力機構のパートナーとしての日本の地位の拡大を阻止した。

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