国後島・大岬沖 ザトウクジラがやって来た

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ザトウクジラ。国後島沖。2025年10月24日セルゲイ・ステファノフ撮影

10月、ユジノクリリスキー岬(大岬)沖でクジラが潮を吹いているという地元住民や観光客からの情報がクリル自然保護区に寄せられた。職員が南クリルスキー灯台からクジラ1頭を確認、写真を撮影した。このクジラはザトウクジラ(Megaptera novaeangliae)と判明した。

ザトウクジラは、国後島沖で一般的な種ではない。ユジノクリリスク(古釜布)とその周辺地域を含む太平洋側では、ミンククジラやアカボウクジラといった比較的小型のクジラがより多く見られる。これは、島の太平洋側が水深300~400メートルと浅いためでもある。水深が深い色丹島付近では、ザトウクジラの目撃情報が多く寄せられている。2023年には、色丹島の「クライ・スヴェタ」岬(世界の終わり岬=エイタンノット岬)から観光客がザトウクジラの写真を撮った。

ザトウクジラはロシア連邦のレッドデータブック(絶滅危惧種)に掲載されている。ザトウクジラはヒゲクジラ科に属し、群れをなす小型魚類(イカナゴ、カラフトシシャモ、ニシン、ホッキョクダラ)やオキアミを餌としている。しばしば群れで協力して狩りをする。5~10歳で成熟し、寿命は50年以上。

ザトウクジラの個体数は、商業捕鯨による大量絶滅によって深刻な影響を受けた。1986年の捕鯨モラトリアム(捕鯨停止)以降、個体数は徐々に回復している。今年6月には、クリル自然保護区職員がベスロフスキー半島(ケラムイ崎)東岸でザトウクジラの死骸を発見した。国後島でザトウクジラの死骸が発見されたのは10年ぶり。

保護区の研究員であるセルゲイ・ステファノフ氏は「今年得られた発見や目撃情報は少ないため、傾向の変化を判断したり、結論を導き出したりするのは難しいです。一つだけ確実に言えるのは、クジラが水面から飛び出すのを見るのは本当に素晴らしい光景だということです。残念ながら、まだその瞬間を捉えることができていません」と話している。

マリェ・クリル保護区(色丹島と歯舞群島)のデータによると、同保護区の海域にはマッコウクジラ、セミクジラ、シロナガスクジラ(北方亜種)、ナガスクジラ(北方亜種)、イワシクジラ、ミンククジラなど11種が生息している。(tia-ostrova.ru2025/10/30)

※写真はクリル自然保護区ウエブサイトより

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