サハリン州のリマレンコ知事は南クリル地区への実務訪問中に住民と2回懇談会を開いた。色丹島マロクリリスコエ(斜古丹)では、色丹島住民からの航空便と海上交通、住宅、医療に関する質問に答えた。
色丹島に40年間住んでいるミハイル・ドゥダエフ氏は、島民が船のチケット不足のために旅行の計画に苦労していると話した。島々を結ぶ船は3隻あるがチケットは1~2か月前からしか購入できず、数時間で売り切れてしまうという。
ドゥダエフ氏は「新たに2隻の船が運航しているが、私は2年連続で休暇に出かけた時、なかなか島に帰ることが出来なかった。チケットが足りないのです。クリル諸島住民向けに1年前からチケットを販売することは可能でしょうか? 」と質問した。

サハリン州運輸道路施設省のマクシム・ジョゴレフ大臣は「チケットは確かに数時間で完売しています。しかし、地元住民のために予備チケットを確保しており、クリル諸島住民が優先的にチケットを購入できるよう、地区行政と協力してウェイティングリストを作成しています」と説明した。
これを受けてリマレンコ知事は「この問題は今すぐ解決する必要がある。地元住民がチケット購入の際に不便を感じないようにする必要がある。この問題に取り組んでほしい。クリル諸島の住民は、休暇予定日の少なくとも6か月前からチケットを購入できるようにすべきだ。販売開始時期を早めてほしい。これは択捉島、色丹島、国後島の住民にも適用される」と、州運輸当局と南クリル地区当局にその場で指示を出した。
もう一つの問題は、割引航空券に関するものだった。近い将来、住民には社会保障バウチャーの代わりに個人用航空券が発行される予定だ。これまで島民は航空券売り場で書類手続きに長い時間を費やさなければならなかった。オハ地区でも同様の動きが既に行われており、この制度は色丹島にも拡大される予定だ。
生後10ヶ月の赤ちゃんを育てる母親が、血液検査の難しさについて知事に訴えた。母親によると、検査機器が頻繁に故障しているという。「もう6ヶ月も採血されていません。どうすれば子供を検査できるのでしょうか?何かが故障し続けています。いつになったら治るのでしょうか?」と尋ねた。

ウラジーミル・クズネツォフ保健相は、機器は現在稼働中であると説明した。実際、以前にも故障があり、その際、検体は検査のためにユジノクリリスク(国後島・古釜布)に送られ、遅延が発生した。故障した場合に備えて、2台目の装置が生化学血液検査用に島に持ち込まれる予定だ。
色丹島の行政当局は、同島の医療体制の整備に重点的に取り組んでいる。大臣は、12月1日からマロクリリスコエに初めて救急車サービスが開設される予定だと発表した。また、地元の病院は新しいエレベーターを設置することになっている。さらに、1ヶ月以内に心電図検査用の機器も導入される。
島民からは水道に関する苦情も寄せられた。「雨が降ると水道水が汚れます。この問題は長年認識されています。いつ解決されるのでしょうか?」と尋ねた。地方行政の担当者によると、すべての取水口に追加のフィルターを設置するための技術文書が現在作成中という。2026年には、地方住宅公益事業省と連携して設備の設置を開始する予定。現在、苦情を受け、システムの洗浄作業を行っている。
別の住民からバルコニーと屋根に問題が発生しているとの報告があった。「サイクロンが来るたびに状況は悪化しており、管理会社による一時的な対策では改善が見られない」と訴えた。知事は「今週、市長に問題の調査と解決を指示します。私たちはこのような事態を容認しません。冬が来る前に全てを終わらせなければなりません」と強調した。
地元の森林管理官は、ゴミの埋立地の問題を指摘した。「埋立地はゴミで溢れています。20年間、埋立地と闘ってきました。いつ閉鎖されるのか、あるいは他の場所に移転されるのか」と訊いた。知事は「現在、ユジノクリリスク(国後島・古釜布)では廃棄物焼却施設の設計が進められており、建設は2029年の予定だ。施設が稼働すれば、色丹島の廃棄物は国後島へ輸送されるます。その間に、既存の埋立地の拡張作業も行われます」と回答した。
最後に、色丹島の住民は道路の維持管理について質問した。「道路に穴や凹凸ができ、使用不能になります」–。知事は市当局に対し、住民からの意見を収集し、必要に応じて道路にアスファルトを敷設するよう指示した。パベル・ゴミレフスキー地区長は「グレーダーが定期的に稼働しています。道路は除雪され、問題箇所は可能な限り補修されています。秋と春には、アスファルトで埋め戻す予定です」報告した。
知事は「7年前に色丹島を訪問した当時は、アスファルトは全く敷設されていませんでした。現在、幹線道路は良好な状態です。この作業を継続していきます」と締めくくった。(astv.ru 20205/11/7)


