サハリン州観光省は10月、択捉島レイドヴォ村(別飛)のグランピング施設の所有者に対し、補助金の返還を求める訴訟を起こした。サハリン州仲裁裁判所の文書によると、「サハリン州観光省は、個人事業主のニコライ・セルゲエヴィッチ・ツェネフ氏に対し、助成金の成果が達成されなかったため551万6,885ルーブル8コペイカの補助金の支払いを求める訴訟を仲裁裁判所に提起した」と記されている。
ツェネフ氏のグランピング施設は2024年にオープンした。択捉島の「クラースヌイ・マヤーク(赤い灯台)」紙によると、ツェネフ一家は以前はペルミ地方に住んでいたが、2011年にクリル諸島に移住した。

<四島ウオッチ>風に負けた?択捉グランピング(北海道新聞2024/3/8)
北方領土を暴風雪が襲った2月末、択捉島別飛(べっとぶ)にある豪華キャンプが楽しめるグランピング施設が大きな被害を受けた。地元メディアが報じた写真や映像によると、7張りあるドーム形テントの幕が大きく剝がれ、むき出しとなった内部が風雪にさらされている。
地元紙「赤い灯台」によると、昨年夏の開業時、経営者は「風速40メートルの強風が吹くカムチャツカ半島で構造に問題がないと完璧に証明されている」と自信を示していたという。被害が報道され話題を呼ぶと、施設側は「意図的な損害と窃盗を目的とした集団に襲撃された」と主張し、強風の影響を否定。メディアに対し「虚偽情報を流さないようお願いする」と要望した。
一方、島の関係者は「暴風雪は本当にひどかった。あの天候で島の誰が襲撃できるのか。主張に無理があり、強風に耐えられなかったことを隠したいのだろう」と話す。
被害を受けたテントは、観光業発展を目指す国の助成金を得て、民間事業者が整備した北方四島初の本格的なグランピング施設。四島を事実上管轄するサハリン州政府も、建設にかかる費用や期間の面でホテルより容易に整備できるとして、宿泊施設不足を補う一手として期待しており、昨夏には国後島でも立て続けに3施設が開業している。それだけに「強風に負けた」とは認めづらい状況。別飛の施設は「夏までに修復し、またお客さまを迎え入れる」と説明している。



