専門家18人がまとめた「北方領土を知るための63章」出版 日本・ロシア間外交から生活、文化まで一冊に

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 第2次世界大戦後、ソ連軍が北方領土を占領してから今年で80年の節目に合わせ、ジャーナリストや研究者らが北方領土の全体像に多角的な視点から迫る『北方領土を知るための63章』(明石書店)を刊行した。日本固有の領土でありながら、日本でほとんど知られていない島の実態を多くの写真や資料とともに紹介。領土問題の風化を防ぎ、国民的な議論を深める狙いがある。

 新聞社や通信社でモスクワ特派員を務めるなど、長年ロシア取材を続けてきた名越健郎拓殖大客員教授、ジャーナリストの大野正美氏、東京新聞の常盤伸編集委員のほか、軍事専門家の小泉悠東大准教授らが加わって企画・編集。政治や経済、歴史のほか、自然科学を含む各分野の専門家18人が参加した。

 日本と旧ソ連時代を含むロシアとの外交交渉の経緯や、ロシアにとっての戦略的重要性や軍配備状況を報告。加えて、北方領土の島々の経済活動、ロシア人住民の日常生活、対日感情、犯罪の実態などを紹介する。北方領土の基礎知識として北方四島の歴史や、ヒグマやタンチョウヅルに象徴される豊かな生態系や資源、関連した文学・映画など文化的側面にも光を当てた。395ページ。2400円(税別)。(東京新聞2025/11/6)

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