南クリル地区の国後島と色丹島には8つの外来診療所が設置されている。(国後島5、色丹島3)。今年1月、国後島オトラダ村(近布内)に開業した診療所は「クリル諸島社会経済発展プログラム」の一環として整備され、診察、処置、健康診断に必要な環境が整っている。敷地内には薬局も開設された。おかげで、村民は必要な医療を可能な限り迅速に受けられるようになり、ユジノクリリスク(古釜布)の南クリル地区中央病院への通院負担も軽減された。

国後島と色丹島では若い専門医の採用が進んでいる。例えば、ドミトリー・イワノフ医師は、2025年2月からオトラダ村の新しい診療所で勤務している。イワノフ医師は国後島に来たのではなく、故郷に帰ってきたのだ。両親が国境警備隊に勤務していたことから、幼少期をゴリャチ・プリャジ村(瀬石)で過ごした。高校卒業後、クラスノヤルスク国立医科大学に進学。卒業後、オトラダ診療所に招聘された。医師にはアパートが提供され、新しい職場には患者の診察に必要なものがすべて揃っている。

「新しい診療科、最新の設備、そして素晴らしい住居。こんな条件で仕事に就けるとは夢にも思いませんでした。私の専門分野は求人があまり多くなかったので、需要があるとは思えず、ましてや故郷の島で活躍できるとは思ってもいませんでした」とイワノフ氏は語った。
南クリル地区に若い専門医を誘致するため、高校卒業生を対象にキャリアガイダンスプログラムが実施されている。現在、大学3年生から5年生までの2名の学生が極東の医科大学で契約研修を受けている。
今年、医療分野は「予防医療」の実施という重要な課題に直面した。国後島と色丹島の住民の60.5%が予防検診とスクリーニング検査を受けた。予定されていた4,639人のうち、2,807人が検査を受けた。
11月初旬、国後島住民との懇談において、サハリン州のリマレンコ知事は、国後島の地区中央病院の建て替えが一時的に延期されたことを発表した。州と地区当局は、現在の施設の定期的な修理と必要な機器の購入を支援する。保健省の代表者は、2026年に大規模な改修が計画されていることを指摘した。
今月、国後島にはマンモグラフィーという新たな機器が到着した。機器は間もなく設置され、住民は島を離れることなく検査を受けることができるようになる。色丹島の地区中央病院分院には年内に内視鏡機器の調達が予定されている。
今年1月1日から、プーチン大統領の主導により「長寿で活動的な人生」という国家プロジェクトが実施されている。このプロジェクトの主な目標は、ロシア国民の平均寿命を80歳以上にすることだ。これを受けて、南クリル地区では重点分野として、以下の取り組みが行われている。「疾患の早期発見と健康寿命の延伸」「既存インフラの整備継続」「医療業界のデジタル化」「個々の患者への個別対応の実施」。 (kurilnews.ru 2025/11/14)


