北方四島初の図解植物ガイド出版 国後島のクリル自然保護区

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国後島のクリル自然保護区は、南クリル諸島(この場合、国後島、色丹島、歯舞群島)に生育する植物の図解ガイドを1,000部発行した。著者は同保護区の研究副所長エレナ・リンニクさんで、南クリル諸島で必ず目にする106科396種の維管束植物について、初めてカラー画像と詳細な解説を単一の出版物に掲載した。

国後島・爺爺岳を背景にしたイワブクロ(Pennellianthus frutescens)。クリル自然保護区でヴラダ・シピロワ撮影

南クリル諸島に足を踏み入れたことがある人なら誰でも、そこが特別な世界であることをご知っている。手つかずのまま、荒々しく、そして魅惑的な美しさを湛えた自然が広がる世界だ。

多くの訪問者や関係者から、南クリル諸島への個人旅行に役立つ植物ガイドを求める声が長年寄せられていた。この図解入りの簡潔なガイドは、リンニク副所長をはじめ、クリル諸島で活動してきた研究者や写真家たちの尽力の成果。本書は、島々を巡るトレッキングの頼もしい相棒となるよう工夫されている。

著者のエレナ・リンニク副所長

単なる植物名の一覧ではなく、視覚的に分かりやすく情報を提供する真のガイドであり、初心者でも植物を自力で識別することができる。使いやすさを考慮し、色分けを導入した。ページの端の色は、植物の花または花序の色に対応しており、黄色い花を見つけたら、すぐに黄色の植物グループにジャンプして識別することができるようになっている。

色分けされた植物は、ロシア語の科名でアルファベット順に、科内ではロシア語の種名で配列されており、ロシア語とラテン語の種名は写真の横に記載されている。

著者のリンニク副所長は、豊富な経験を持つプロの生物学者であり、数多くの科学論文や一般向け科学論文を執筆し、生物多様性保全ワーキンググループのメンバーであり、保護区の希少植物種苗園の園長も務めている。彼女の深い知識、自然への情熱、そして南クリル諸島における長年のフィールド調査は、このガイドのあらゆるページに反映されている。

南クリル諸島は、歴史、火山活動、海洋性気候、そして寒流と暖流の衝突によって、信じられないほど豊かで独特な植物相が生み出された地域だ。国後島の暗い針葉樹林から、小クリル列島(色丹島と歯舞群島)の樹木のない丘陵地帯や草原まで。オホーツク海、満州、そして日本北部の植​​物相が絡み合い、多様な形態と種の万華鏡を作り出している。

国後島のヤマブキショウマ(Aruncus dioicus)。マキシム・アンティピン撮影

南クリル諸島の植物相は2,500種以上から成り、そのほぼ半数は維管束植物。これらの植物の重要性と特性を理解することは、経験豊富な専門家にとっても困難な作業である。植物の説明の最後には、植物の特性(食用、薬用、観賞用など)、保全状況、生息地(固有種、第三紀遺物、外来種、雑草)を示すアイコンが示されている。

エゾゴゼンタチバナ(Chamaepericlymenum suecicum)。国後島でユーリ・スンドゥコフ撮影

本書は、地元のガイドやツアーオペレーター、プロ・アマチュアの植物学者、自然保護活動家、生物学の教師や学生、旅行者や地元住民など、身の回りの植物を観察するだけでなく理解したいと願うすべての人々にとって役立つだろう。(クリル自然保護区2024/11/27)

国後島のシロヨモギ(Artemisia stelleriana)。マリア・クヌシェヴィツカヤ撮影
ミヤママタタビ(Actinidia kolomikta) 国後島でオルガ・コステリーナ撮影
色丹島のエゾカワラナデシコ(Dianthus superbus)。エレナ・リンニク撮影
シコタンハコベ(Stellaria ruscifolia)。色丹島でエレナ・リンニク撮影
色丹島のツリガネニンジン(Adenophora triphylla)。エレナ・リンニク撮影
エゾスカシユリ(Lilium pensylvanicum)。国後島でアレクサンドル・ヤコブレフ撮影

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