国後島のクリル自然保護区の2025年の訪問者数が7,107人に達し、過去最高を記録した。2019年に初めて1,000人を超えて1,300人となったが、その後訪問者数は急増。2020年1,740人、2021年3,200人、2022年4,200人、2023年4,600人、2024年5,000人を超え、2025年には初めて7,000人台に到達した。この着実な成長は、千島列島の比類なき自然美への関心の高まりだけでなく、この脆弱な島の環境を保全するために思慮深いインフラ整備と保全対策が必要であることを示している。

最も人気のある観光コースはゴロヴニン火山(泊山)のカルデラで、2025年に6,278人が訪れた。チャチャ火山(爺爺岳)には606人が登頂した。この差はある意味当然で、チャチャ火山は標高1,819メートル(※日本側では爺爺岳の標高は 1822m から 1772mに修正)で国後島の最高峰であるため、登頂には十分な体力が必要だからだ。また、ルートには野外でのキャンプ泊が含まれるため、所要時間には余裕を持たせる必要がある。ユジノクリリスク(古釜布)からのハイキンググループは、ルートの出発点に到達するだけで2日かかることもある。ペシャノエ湖(東沸湖)への歴史トレイルは、202人を魅了した。

2025年、クリル自然保護区を訪れた南クリル地区の地元住民は1,089人、サハリン州の他の地域からは277人、ロシア各地から5,700人以上が訪れた。訪問者の地域別内訳は、モスクワおよびモスクワ州(2,711人)、サンクトペテルブルクおよびレニングラード州(1,137人)、エカテリンブルクおよびスヴェルドロフスク州(483人)、ノヴォシビルスクおよびノヴォシビルスク州(375人)、ウラジオストクおよび沿海地方(321人)、クラスノヤルスク地方(114人)が大部分を占めた。

訪問者総数のうち外国人は28人。その中には、ベラルーシ、カザフスタン、ブルガリア、イギリス、ドイツ、エストニア、フィリピンからの観光客が含まれていた。
保護区を訪れた人の大半は女性で4,030名、男性は3,077名だった。

自然保護区の観光ルートは個人旅行者だけでなく、団体旅行客にも人気がある。2025年には、25のツアー会社が3,411人の観光客を案内した。今年、団体旅行客数でクナシル・ツアー(古釜布)が1位となり、次いでサハリン・クリル諸島(ユジノサハリンスク)、ツアークラブ・ピク(サンクトペテルブルク)が3位となった。

自然保護区を訪れるクルーズ船の乗客数も増加している。「プロフェッサー・クロモフ」号と「プロフェッサー・ショカリスキー」(Panarctic Star、モスクワ州)の乗客数は267人に達している。今後、クルーズ産業が体系的に発展することが重要だが、一方でクリル諸島の自然は比類のないものであり、その保護が不可欠となる。大規模な団体旅行に対応するには歩道、階段、休憩所の建設など、インフラへの投資が必要で、これにより、自然環境への人為的影響を最小限に抑えることができる。

ツアーオペレーターによる誠実で責任あるアプローチも不可欠となる。また、地元の動植物に精通した、資格を持つガイドを配置することも重要だ。2025年末までにクリル自然保護区の職員10名がツアーガイドとしての専門再研修を修了し、うち5名が地域認定資格を取得した。(sakh.online 2025/12/26他、写真はクリル自然保護区ウエブサイト)









