北方領土・択捉島のヤースヌイ空港が開港10周年を迎えた。ちょうど10年前の2014年9月22日、ヤースヌイ空港は最初の乗客を迎えた。1時間以内に、ユジノサハリンスクからサハリン航空(現在はオーロラ航空)の旅客機2機が真新しい滑走路に着陸した。
誇張ではなく、島の歴史における大きな出来事だった。到着した人々の中には、島の有名人や政府高官がいた。当時ロシア連邦大統領府を率いていたセルゲイ・イワノフ、アレクサンドル・ホロシャビン知事率いるサハリン州政府の代表団、空港建設の枠組みとなった「クリル諸島社会経済発展プログラム」推進局の代表者たち。
「これは、ソ連崩壊後のロシア史上初めて、沼地の中にゼロから建設された空港だ。最新の航行装置のおかげで、悪天候でも運航できる。ユジノサハリンスクからのフライトは、これまでと同様に週4便運航される」とホロシャビン知事は述べた。
同時に、将来的な路線拡大計画が発表された。択捉島とウラジオストク、ハバロフスク、ペトロパブロフスク・カムチャツキーを結ぶ計画だった。
あれから10年が経過した。今はもう、クリリスク(紗那)から56km離れたブレベスニク村(天寧)の空港「ブリク」を利用していたころ、乗客が経験した恐怖を知る住民は少ない。特に冬は、飛ぶかどうか分からない宝くじのようなものだった。
今では、アスファルト道路を10〜15分も走れば空港に着くことが出来る。2017年に中標津(北海道)からの最初の国際便が運航されたが、これまでのところこれが唯一の国際線のフライトだ。
2018年8月、ヤースヌイ空港は国防省との共同使用の飛行場となり、Su-35S戦闘機が任務に就いた。
同じ年に、サハリンからの択捉島便が毎日運航されるようになった。現在、ヤースヌイには1日3〜4便が到着しており、年間の利用者数は4万人を超えている。
空港は技術的に改善され、新しいナビゲーション機器と飛行安全システムが導入された。今年 5 月末に新しい光信号システムが稼働し、空港を第 1 級空港にアップグレードすることができた。
「空港の気象最小値は 60m(決定高度)×800 m(滑走路視距離)から 60m×550mに縮小され、これにより、変わりやすいクリル諸島の天候の影響を受けることが少なくなり、定時運行が増えることになる」と、当時のサハリン州運輸道路施設大臣マキシム・ジョゴレフは述べた。
また、沿海地方の首都ウラジオストク線も開設された。乗客数の増加に伴い、空港ビルは拡張されている。国際定期便が運航される日も近い。「ヤースヌイ」の見通しは良好だ。(択捉島の地元紙「赤い灯台」2024/9/22)
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