北方領土墓参「現在手段ない」 ロシア側認識と鈴木氏

 鈴木宗男参院議員(比例代表、無所属)は4日、7月のモスクワ訪問中に会談したロシア外務省高官から、元島民らの北方領土墓参に関する枠組みは残っているが、現在は実施する手段がないと伝えられたと説明した。(北海道新聞デジタル2024/8/4)

 根室市内で記者団に語った。ロシアはウクライナ侵攻に対する日本の対ロ制裁に反発して2022年9月に1991年のビザなし交流に関する政府間合意などを破棄。鈴木氏によると、86年の墓参に関する枠組みは維持されているが、ロシア側は91年の合意を破棄したことに伴い、手続きができなくなっているとの立場を示したという。

 ロシアのノズドレフ駐日大使は2月の北海道新聞の書面インタビューに対し、墓参再開には現行法との調整が必要だとして、早期再開は困難との認識を示していた。

鈴木宗男氏「外務省は説明を」 北方領土の「ビザなし交流」巡り

(毎日新聞2024/8/4 )

 モスクワを7月末に訪れていた鈴木宗男参院議員(比例代表、無所属)は8月4日、北海道根室市であった「北方領土返還要求根室市民大会」に来賓として出席した。元島民が北方領土墓参に行くとするならば「ロシアのビザを取って行くしかない」と語り、そうした現実を「外務省は元島民に正直に話していない」と批判した。

 鈴木氏は、大会後の元島民らとの懇談会などで7月30日にモスクワで行われた前駐日ロシア大使のガルージン外務次官らとの会談内容を説明。2022年9月5日にロシア側は「ビザなし交流の日露合意終了」を日本側に通告した。このときに日本側は「停止」という柔らかい表現で言い換え、国民に伝えていたと明らかにした。

 鈴木氏は「そんな甘いものでなく、外交用語で『終了』『破棄』を意味するロシア語であるという現実が今回の訪露で分かった」と強調。ウクライナ侵攻後の「日本の度重なる制裁」が原因で、ビザなし交流を再開するとすれば日露間で改めて枠組みを構築する必要があり、「どこかで元に戻ると考えていたら大間違い」と述べた。

 一方、ガルージン次官らは「1986年の北方領土墓参の枠組みは破棄されていない」とし、墓参を行いたいのであれば、「どうぞロシアのビザを取って来てください」とのスタンスだったという。

 鈴木氏は「元島民が希望しても(日本政府は)させないだろう」という考えを示しつつ、平均年齢が88・5歳になる元島民の高齢化を考えれば、人道的な観点から「墓参だけは特別な配慮を」と元島民らが声を上げるべきだと話した。【本間浩昭】

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