国後島のクリル自然保護区 サケマスの遡上をはばむ河口の流木、ゴミの撤去を呼び掛け

国後島のクリル自然保護区は、保護区の外にある多くの河川で、河口付近に流木や海洋ゴミが堆積し、産卵するサケマスが遡上できなくなっているとして、島内の漁業会社に対して定期的な清掃に取り組むよう提案している。国後島には多種多様な川、湖、小川がありカラフトマスとシロザケなどが遡上する。台風や暴風の結果としての河口や湖の水路には、石や流木、海洋ゴミなどのゴミが散乱している。 この結果、水路が遮断され、魚は産卵場所に到達できなくなっている。ソ連時代には、サケマスが産卵する川の下流と隣接する海域は「漁場(РПУ=FPU)」として機能しており、長い間、主なユーザーである漁業集団の養殖場などに割り当てられていた。ソ連水産省の命令により、漁業集団には漁場内の産卵河川の河床を清掃する義務が法制化されていた。漁業集団は漁に加えて、瓦礫やゴミの撤去にも従事した。漁業集団は持続可能な漁業の概念を実践し、拠点がある川の流域でサケマス資源を保護する責任の重要な部分を引き受けていた。こうした取り組みは密漁の排除にもつながっていた。しかし、1990年代初頭から太平洋サケに対する漁獲圧力が高まり始め、伝統的な「漁場」は単なる漁具の設置場所に変わっていった。漁業会社は産卵河川の生殖能力を無視して、誰がより多くの魚を捕まえることができるかを競い合うようになり、激しい漁獲圧力によって資源は短期間で減少し始め、水路の河口域の管理も疎かになった。クリル自然保護区では地域の子供たちと一緒に河口の清掃を実施しているが、限界があるとして、同保護区は、漁業会社の南クリルルイバコンビナートやアイランド・フィッシュ・インベストの漁場近くの産卵河川を適切に管理する伝統を復活させることを提案している。特に、ラグノエ湖(ニキショロ湖)からセヴェリャンカ川までの国後島オホーツク海沿岸にあるワレンチナ湖(オンネ湖)とミハイロフスコエ湖では早急な対応が求められる。スクリトニ川、トロイノイ川なども同様で、これらの川は島の主要な産卵河川になっている。(クリル自然保護区ウエブサイト2023/ 9/ 29)

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国後島のトロイノイ渓流。流木や漁具などで河口が塞がれサケの遡上が妨げられている。2023年初秋

産卵のため遡上するカラフトマス

ワレンチナ湖への水路は遮断されている。サケは産卵に行くことができない。2023 年 9 月 27 日

流木で塞がれたスクリトヌイ川

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