北方四島を含むクリル諸島(北方四島を含む千島列島)では、前例のない税制上の優遇措置で新規にビジネスを展開することができる。2022年には、島々で投資プロジェクトを実施する企業に対して20年間税金を免除する制度「ロシア連邦のクリル諸島」(KORF)がスタートし、これまでに13社が参加している。極東連邦管区大統領全権代表トルトネフ副首相は「より多くの投資家をクリル諸島に呼び込む必要があり、人口が少ない領土をできるだけ早く開発するためにあらゆることを行っている」と語る。一方で、クリル諸島の生態系と自然の美しさを維持するため多くの制限が設定されているという。KORFに登録した企業の中には、食品の生や水産物の取引を計画している企業もあり、13社の投資総額は9億5,800万ルーブルに上り、地元住民130人の新規雇用を創出する。国後島でサーフィン教室を展開している「サーフツアー」は、昨年KORFに参加した。サップ・サーフィンでオホーツク海を渡るツアーも企画しており、必要な設備を購入し、ゲストハウスを建てる計画だ。アレクサンドル・ソキルニク代表は「昨年5月にサハリンの税務署にオンラインで申請書を出したところ、迅速に対応してくれた。7月にはモスクワとサンクトペテルブルクから最初のサーファーを受け入れることができた。2カ月間で30人が訪れ、トライアルシーズンとしては上出来だった。国後島は6月から10月末までサーフィンに最適。今年は月に2グループを受け入れる予定だ」語った。クリル諸島でのビジネス支援策は免税制度KORFだけではない。規制緩和や各種優遇制度で民間投資を呼び込む優先的社会経済発展区域(ROR=ASEZ)「クリルズ」も設定され、北クリルの観光クラスター「オネコタン群島」やパラムシル島のホテル「エベコ」の建設など8社が投資プロジェクトを展開している。制度を運用する極東・北極圏開発公社のニコライ・ザプリャーガエフ局長は「TORの参加企業が使用する土地を入札抜きに取得できるよう条件を整備した。免税制度KORF参加企業は入札なしで、しかも割安な賃料で事業を行うための土地を借りることができる。さらに、連邦政府はマガダン州に適用されている自由関税制度をクリル諸島に拡大し、商品の通関手続きなどで特典を受けることができる。クリル諸島の開発に投資したいと考えている人をサポートする準備が出来ている」と話している。(サハリン・メディア2023/3/22)
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