ここ数カ月、サハリン州仲裁裁判所は、同じ理由で提起された数十件の訴訟を審理してきた。船舶が誤って送信したデータで国境を越え、その後、行政違反により多額の罰金を科せられるというものだ。
今回は、国後島ユジノクリリスク(古釜布)の南クリル・リボコンビナート(漁業・水産加工場の会社)所有のトロール漁船「アスビョルン号」が40万ルーブルの罰金を科せられた。弁護士らは、義務的支払額を半分に減額させることができた。
サハリン州の連邦保安庁(FSB)国境管理局は、同社をロシア連邦行政法典第18条第1項第1項(国境体制違反)に基づき行政訴訟に持ち込んだ。同社のトロール船「アスビョルン」が海の国境を越える際に国境警備隊に適切な位置を通知をせずに何度も国境を越えたためだ。罰金は40万ルーブルで、これはこの種の違反に対する最低額である。
同社は違反に異議を唱えなかった。しかし同社の弁護士は、同社は違反を防ぐためにあらゆる手段を講じたと指摘した。船が出発する前に、船長は国境を越える意図を何度も国境管理局に通知していた。弁護士は、船長はすでに行政責任を問われているため、同社を裁判にかけることはできないと主張した。そして、裁判所が国境警備隊の側に立つなら、少なくとも「厳しい財政状況を考慮して」罰金を減額するよう求めた。
国境管理局はこれらの要求に応じることに反対した。国境警備隊は裁判所に対し、2024年6月にロシアの国境を越えた時点で、船長が提出した通知は有効期限が切れていたと主張。(通知は4月30日まで有効だった)
マキシム・ズエフ裁判官は、「アスビョルン号」が2024年4月29日にユジノクリリスク港の海上ターミナルを出発し、国境および税関検査を通過したと認定した。その後、釜山港(韓国)から国後島ユジノクリリスクに戻る途中、「アスビョルン号」はロシア国境を数回越えた。国境警備隊は不完全なデータの通知を受け取っていた。
6月17日、国家検査官が船を検査し、同船は技術的に良好な状態にあり、航行、無線電子機器、漁業設備、技術的制御手段を備えているという報告書を作成した。同船の航海日誌には、6月15日の3回の国境通過に関する記載があった(3回目の通過後、アスビョルンはユジノクリリスク港の海上ターミナルに戻った)。しかし、国境警備隊はすべての通過について通知を受け取っていなかった。トロール船は通知規則第5項の要件に違反して国境を越えたことが判明した。現在、ロシアでは、このような違反に対して40万~80万ルーブルの行政罰金が科せられる。
同社は、船長が4月28日に予定していた国境通過の通知を出し、2024年6月14日と15日に国境通過座標を国境警備隊に伝えたと主張した。しかし、6月中旬、出航日が4月30日までと記載されていたため、通知は無効となった。規則によれば、船長と船主、つまり会社の両方が国境警備隊に通知を送ることができる。したがって、同社の責任は免除されない。
しかし、国の厳しい経済状況と同社の厳しい財政状況を考慮し、罰金を40万ルーブルから20万ルーブルに減額するのが妥当と判断した。(sakh.online 2024/10/29)