クリル諸島南部(北方領土)の日本人の元島民たちは、7月20日から恒例となった洋上慰霊を開始した。北海道新聞によると、最初の慰霊祭には46人が参列した。
7月20日、最初のチャーター船「えとぴりか」は、島の元住民46人とその家族、そして日本の行政機関の代表者を含む72人を乗せて根室港を出港した。先祖の墓参りが不可能なため、洋上慰霊は4年連続で島の近海で執り行われることになった。
「えとぴりか」は歯舞群島(小クリル列島)から国後島南方海域の境界線(ロシアの地図では国境)まで航海し、慰霊祭と献花が行われた。千島連盟の松本侑三理事長は「故郷の大地を踏みしめることができなかったことで、かえって北方領土返還への思いを強くした。志半ばで逝かれた皆さまの遺志を継ぎ、一日も早い四島の返還を目指す」と述べた。
このイベントを主催するのは千島連盟(本部:札幌)と北方領土問題対策協会(本部:東京)である。両団体はロシアでは好ましくない団体に指定されている。
※洋上慰霊は北海道も含め3者共催でじっしされている。
今年は洋上で7回の慰霊祭が開催される。最終回は8月21日に行われる。ビザなし渡航の枠組みで南クリル諸島を訪問することが不可能になった理由は、2020年から2021年にかけての新型コロナウイルス感染症の拡大と、その後の日露関係の緊張である。
南クリル諸島のロシア人住民と日本国民の間のビザなし交流が活発に行われていたのは、1992年から2019年にかけての期間。ビザなし交流は様々な形で行われていたが、その中で最も重要なものは墓地の訪問だった。墓参に関する政府間協定は1986年に締結され、両国の国民は、親族の墓参りのために両国の領土を訪れることができるとされた。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、ビザなし渡航は再開されていない。日本が国際的な対ロシア制裁にくみしたことを受け、2022年3月、ロシアは日本との平和条約交渉から撤退した。(sakh.online 2025/7/22)