択捉島を出港しサハリンに向かっていた貨客船パベル・レオーノフ号が、ロシアの海上国境を越える際に国境警備隊に事前に提出していた座標データと異なる地点から海上国境を越えたとして、罰金20万ルーブルを科せられた。
パベル・レオーノフ号は今年5月4日、択捉島クリリスク港(所在地は内岡)を出港し、コルサコフ港に向かった。同号は、事前に提出した通知に記載されていなかった地理座標のポイントからロシアの海上国境を越えた。ロシア連邦保安庁(FSB)国境局は行政違反事案として処理し、40万ルーブルの罰金を命じた。
これに対し、同船を運航している海運会社「サフパスフロート」の弁護士は、仲裁裁判所に異議を申し立てた。同船から国境警備隊に送られた通知には、電子地図ナビゲーションシステム(ECDIS)から取得した船舶の国境通過地点の座標が使用されており、データに矛盾があったとしても、同社は国家の電子海図の作成と認証に責任を負っていないと主張した。
裁判所は、船長が国境警備隊に間違った座標を伝え、実際には、パベル・レオーノフ号は通知に示されていない場所で国境を越えたと断定した。これは「ロシア連邦国境法」に違反している。そして、国境通過の正確な座標を提供する義務があったのは「サフパスフロート」であり、同社は択捉島地域でロシア領海の基線と外側の境界線が遵守されていることに注意を払うべきだったとした。
「航行活動に関する法律」によると、国家海洋航行海図の作成と更新は、ロシア国防省によって行われている。同船は、国境通過地点を特定する際、2023年8月に修正された国防省航行海洋局の海洋航行海図を使用したが、これは航行活動に関する法律の要件に準拠しており、信頼できる情報源である。しかし、船長はコルサコフ港に向かう際、ロシア領海の幅を決定する基線が描かれていないECDISを使用していたため、ロシア連邦国境線の位置と電子地図の位置に食い違いが生じていた。
裁判所所は「船長は出航前に、関係する海域に適した海図と海上航行補助装置を使用して、航海の計画が立てられていることを確認しなければならなかったにもかかわらず、同船に装備されていたECDISは、最新性と妥当性の要件を満たしていなかった」と結論付けた。同時に「制裁は相応でなければならない」とし、懲罰的制裁を40万ルーブルから20万ルーブルに減額した。(sakh.online 2024/10/25)
