10月末、北方領土・択捉島のクリリスク(紗那)と太平洋側のブレベスニク軍用飛行場を結ぶ「地域高速道路」(60km)のうち、4km–12km区間(紗那から4キロ—12キロ区間と思われる)で改修工事が完了した。5年がかりで行われた工事だが、このほど検査機関の審査で完全に使用可能と認定された。
工事を請け負った島内最大の水産・建設企業ギドロストロイは、7.4 kmの区間に新しい2層アスファルトコンクリート舗装を設置するとともに、総面積48,000平方メートルを超える特別な「スチール・グリッド・メッシュ」を使用して、路盤の傾斜を強化した。
さらに、道路脇に8,895メートルの側溝と9つの暗渠を設置した。道路の安全を確保するため102本の道路標識、247本の信号柱、3,309 メートルの金属製フェンスが設置され、22,000 メートルを超える道路標示が行われた。
運転中、緊急事態が生じた場合に車が安全に停止できるよう 3 つの非常駐車帯が設けられた。
国家機関「サハリンナフトドル管理局」の責任者であるヴァディム・ドゥマンスキー氏は「改修前、未舗装だったこの道路は重機などの通行で深いわだちやぬかるみができていた。改修部分の運用開始により、クリリスク–ブレベスニク空港道路の輸送および運用条件が大幅に改善され、安全な交通が確保される」と語った。
地区の中心地でオホーツク海側にあるクリリスクから軍用飛行場までの道路の延長は 60 キロメートル。そのうち 10 キロメートル以上が現在アスファルト舗装になっている。(sakh.online 2024/11/14)
【紗那—天寧空港道路の経過】
択捉島・紗那—天寧高速道路 4.4km—12km工区は2019年着工、工事費用20億ルーブル
(択捉島の新聞「赤い灯台」2021/9/23)
択捉島のオホーツク海側に面した中心地クリリスク(紗那)と太平洋側にあるブレベスニク(天寧)を結ぶ高速道路の建設が島内のゼネコンのギドロストロイ社によって進められている。4.4km—12kmの工区は2019年に始まり、工事費用は20億ルーブル。工事は予定より早く進んでいる。完成するのは2024年10月15日の予定。
※クリリスク—ブレベスニク間は60kmで、完成すれば東海岸と西海岸が初めてアスファルト道路で結ばれる。2020年6月時点で、3.4kmが舗装され、2.7kmが砂利道、残りは未舗装の凸凹道路。岩山を切り開き、斜面を整え、橋を架けるなど難工事が続く一大プロジェクト。
北方四島の開発に急ブレーキ、ウクライナ情勢影響か 択捉島・紗那–天寧道路は43.8億ルーブル⇒19.4億ルーブルに半減
(2022/7/13ロシア法務情報サービスサイトgarant.ru参照)
ロシア政府は6月1日付で、北方四島を含むクリル諸島(千島列島)の開発計画である「クリル諸島社会経済発展プログラム(2016-2025)」の見直しを行い、投資総額を2021年12月変更時の805億7,950万ルーブルから594億880万ルーブルに211億7,070万ルーブル減額する決定を行った。縮小幅は26%に上り、北方四島の今後の社会資本整備に大きな影響が出ると予想される。
択捉島クリリスク(紗那)とブレベスニク(天寧)空港間(27.9km)を結ぶ高速道路再建事業
43億8,300万ルーブル⇒19億4,200万ルーブル
※2022年–25年までに32億ルーブル以上を投じる計画だったが、8億1,200万に大幅減額された。
択捉島の紗那—天寧「戦略道路」開発優先順位に入っていない 知事「数年は無理」
(sakh.online 2023/10/5)
北方四島を管轄するサハリン州のリマレンコ知事が択捉島を訪問し、地元住民と懇談した。会合は2時間に及び24件の質問が寄せられた。クリリスク(紗那)とブレベスニク(天寧)を結ぶ、いわゆる「戦略道路」に関して、住民は「道路がぬかるみ、SUVでも通行が難しい」と訴えた。知事に同行したスピチェンコ運輸・道路大臣は「4kmから12kmの区間の再建が現在進行中で2024年に完成する予定だ。しかし、他の多くの区間では、今のところ自治体自身が決定する地域の開発優先順位には入っていない」と説明した。これについて知事は「今後数年間で道路の全面改修は不可能であるが、通行可能な状態に維持しなければならない」とし、運輸・道路大臣に対し、地元の業者に必要な不活性材料と暗渠を提供する際の問題の解決を指示した。