北方領土・択捉島のかつての軍の町ゴルノエ村
「見捨てられた」老朽アパート13棟修理、14棟解体へ
サハリン知事が現地視察
天候考えず屋根交換、46戸雨漏りで請負業者の対応を批判

北方領土の最新情報

                              (sakh.online 2024/10/12)

択捉島を実務訪問中のサハリン州のリマレンコ知事は、大規模な改修工事が行われているゴルノエ村の老朽アパートを訪れ、請負業者のずさん工事により46戸が雨漏りで浸水した現場を視察した。

この会社は天候を考慮せずに屋根を交換していたため、雨が降った際にアパート内が浸水した。請負業者は、建築資材や新しい家具の支払いなど必要なものは補償すると約束したが、住民は金も資材も受け取ることはなかった。

知事は請負業者に対して「46戸に対して、14日までに支払いがなければ、ロシア捜査委員会と検察庁に連絡をとる。もし合意が金銭ではなく、請負業者による家具の配達に関するものであれば、できるだけ早く書類を準備しなければならない。この結果について私に報告するように」と要求した。また、請負業者が天候と資材の配達の遅れが原因で工事のスケジュールが遅れていると説明したのに対し、知事は作業の進捗についてより厳格な計画と管理を求めた。

ゴルノエ村はかつてロシア軍が管理していた軍の町。27棟あるアパートには、民間人と退役軍人など約700人が住んでいる。軍管理の時代から35年間大規模修理が行われてこなかったことから老朽化が進んでいる。2018年に管理が軍からクリル地区行政府に移管されたことで、やっと修繕工事が始まっていた。

州政府のナタリア・クプリナ住宅・公共事業大臣は「村にはある27棟のうち、修復可能な13棟が工事中で、バルコニーや屋根、すべての公共インフラを交換し、地下室や玄関を改修している。作業は2025年11月末までに完了する予定だ。残りの14棟は修理不可能なので取り壊す」と報告した。

ゴルノエ地区とは

択捉島のクリリスク(紗那)から60km。かつて砲兵、ヘリコプター、戦闘部隊の家族が暮らしていたが1990年代に一部が撤退。その後の1994年の地震で大きな被害が出て、町は放棄された。27棟ある集合住宅のうち13棟に今も700人の住民が暮らしている。この間、町は軍の管理下にあり、住宅、水道、暖房など老朽化したインフラの更新は行われず、居住環境は悪化。2018年に軍から地方自治体に移管され、当座のインフラ整備と並行して内岡地区への移転計画が進められていたが、最近の報道をみると老朽アパートの修繕で対応する方向のようだ。

タイトルとURLをコピーしました