駐日ロシア大使「日本の政治体制は歴史的健忘症に陥っている」

日ロ関係

「日本がクリル諸島南部の島々(北方領土)に対する主権を主張し続けるのは、日本の政治体制が歴史的健忘症に陥り、第二次世界大戦の結果を受け入れようとしないからだ」–ニコライ・ノズドリェフ駐日ロシア大使は5月5日、タス通信とのインタビューで、こう語った。

「私の見解では、このような立場は、日本の政治体制が歴史的健忘症に陥っていること、そして第二次世界大戦の一般的に認められた結果、すなわち南クリル諸島が国連憲章に定められた法的​​根拠に基づき我が国(ロシア)に帰属するという事実を頑なに受け入れようとしないことの証拠です」と外交官は述べ、日本政府の姿勢は「自国の軍国主義的な過去の過ちを客観的に見つめようとしないことに起因している」と付け加えた。

在日ロシア大使館の代表は、「日本政府は、ソ連を含む多くの国に対する侵略行為を一度も悔い改めていません」と指摘した。

ノズドリョフ大使は、とりわけ、日本における憲法改正の機運の高まりに注目した。1947年に採択された憲法は、第9条に平和主義的な条項を含んでいる。しかし近年、日本は事実上、陸海空軍を保有しており、国防費は年々増加している。一部の勢力は憲法第9条の廃止を求めているが、大多数の日本人は反対している。

ロシアの政治家たちは日本の軍事化を懸念しており、領土問題をめぐって過激派勢力がロシアとの軍事衝突に踏み切る可能性を排除していない。ここで問題となっているのは、南クリル諸島、すなわち択捉島、国後島、色丹島、そして小クリル列島(ここでは歯舞群島のこと)である。日本ではこれらは「北方領土」と呼ばれ、日本固有の領土とみなされている。  

これらの島々は、両国間の最初の条約である1855年2月7日の下田条約(日魯通行条約)によって日本の一部となり、1875年5月7日まで有効だった。その後、サンクトペテルブルク条約(「樺太及び千島交換条約」)によって置き換えられた。後者によれば、日本はそれまで共同使用されていた樺太全土と引き換えに、クリル諸島(日本語では千島列島)の全島嶼を取得した。1904年から1905年の日露戦争での敗戦後、樺太南部は日本に割譲され、樺太庁が設置された。この状況は1945年まで続いた。第二次世界大戦での日本の敗戦後、南樺太と千島列島はソ連に割譲された。

1951年9月8日に開催されたサンフランシスコ講和会議の規定に基づき、日本はいくつかの領土と植民地を放棄した。しかしその後、日本の復古主義者たちは、これらの文書には島嶼の放棄が誰に対して行われたのかが明記されておらず、それが日本に歴史的権利を与えると主張し始めた。同時に、彼らの意見では、ソ連側は会議に参加していないため、モスクワにはそのような権利はない。

モスクワと東京の間の紛争は数十年にわたって続いている。この間、日本では「北方領土」返還を求める運動が組織され、千島歯舞諸島居住者連盟、北方領土復帰期成同盟、北方領土問題対策協会など、多くの団体が参加した。1992年以降、これらの団体はロシア側と協力して、日本国民と南クリル諸島住民の間でビザなし交流を実施してきた。当初は先祖の墓参が中心だったが、時が経つにつれて交流は多様化し、日本語教師、医療従事者、翻訳者、国会議員などの政治家、そして場合によっては諜報員も訪れるようになった。

2019年、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、交流は中断された。2022年、再開の機会が訪れたものの、同年3月に日本が国際的な対ロシア制裁に加わったことで両国関係は悪化した。これに対し、ロシアは領土問題の解決につながる平和条約交渉から撤退した。ビザなし交流を含む関連プログラムはすべて縮小され、関係団体はロシア領土への立ち入りを禁止された。

最初に標的となったのは千島歯舞諸島居住者連盟だった。ロシア検察総長の決定により、2023年4月に「好ましくない団体」のリストに加えられた。2024年2月には、ロシア法務省が北方領土復帰期成同盟のメンバーの入国を禁止した。今年4月8日、ロシア検察総局は、北方領土問題対策協会のロシア領内での活動を好ましくない行為と認定した。同協会は「日本における島返還を求める全国運動の支援団体」となっている。

返還を求めて積極的に活動する3団体に対して「係争島」への立ち入りが禁止された。日本はそれぞれの禁止措置に激しい反応を示し、外交ルートを通じて抗議を表明した。

双方とも、主に地理的な理由から、善隣関係の回復を望んでいることは間違いない。しかし、どちらかが自らの原則から後退する可能性は低いとみられる。スモレンスカヤ広場ではこの問題がゴルディアスの結び目のように簡単に解決されたのに対し、東京では膠着状態に陥っているようだ。(sakh.online 2025/5/6)

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