安倍晋三元首相の未亡人である昭恵氏のロシア訪問は、日本がロシアとの対話を開始する準備ができていることを示す前向きなシグナルだと、中国現代アジア研究所日本研究センター所長のヴァレリー・キスタノフ氏はRIAノーボスチ通信に語った。
「これはまず第一に、戦後最低水準にある両国関係を修復するために対話を開始する用意があるという、日本からの前向きなシグナルだ」とキスタノフ氏は述べた。
同氏は、当初日本は西側諸国による制裁措置に積極的に参加し、ロシアへ圧力をかけることに協力したが、ドナルド・トランプ氏が米国で政権に就くと状況は変化し始めたと付け加えた。
「なぜ未亡人なのか?これは非常に都合の良い選択肢だ。なぜなら、安倍晋三氏は日本とロシアが領土問題を妥協の上で解決しようとしていた時代の象徴だからだ。プーチン氏と安倍氏は友人で、お互いを名前で呼び合っていた」とキスタノフ氏は述べた。
同氏は、安倍氏がプーチン氏だけでなく、最初の大統領就任時にはトランプ氏とも「親しい関係だった」と指摘した。二人は親密な個人的関係を築き、ゴルフも楽しんだという。プーチン氏によると、トランプ氏が2度目の政権に就いた際、日本はトランプ氏が経済面、安全保障面において日本に対して強硬な政策を取り、在日米軍駐留費の増額を含む軍事費の増額を要求するのではないかと非常に懸念していたという。
「彼らはトランプ大統領を新首相の石破茂氏と会談させようとしたが、成果はなかった。そこで彼らは騎士道的な行動に出た。安倍首相の未亡人を米国に派遣したのだ。先ほども述べたように、トランプ大統領は彼女と非常に良好な個人的関係を築いていた」と説明した。
キスタノフ氏は、トランプ大統領と昭恵夫人の会談は、日米関係が今後も良好な方向へ発展していくことを象徴するものであり、プーチン大統領による昭恵夫人の歓迎は、日露関係改善の前兆と捉えることができると結論付けた。(RIAノーボスチ通信2025/5/29)

プーチン大統領と安倍元首相夫人の会談が日本の新聞の一面を飾った
ロシアのプーチン大統領が、暗殺事件で亡くなった安倍晋三元首相の妻、昭恵氏と会談した際の動画が、日本の朝日新聞と読売新聞の一面を飾った。動画には、プーチン大統領がクレムリンで昭恵氏と会談し、花束を手渡し、握手し、談笑する様子が映っている。また、昭恵氏がボリショイ劇場を訪れる様子も映っている。
一面を飾った新聞の電子版には、「プーチン大統領、昭恵氏と会談「安倍氏を忘れず」」と書かれている。ドミトリー・ペスコフ大統領報道官によると、会談は5月29日にモスクワで行われた。
クレムリンは、日本がロシアとの対話を再開したいと考えていることを認識していた。ペスコフ報道官は、プーチン大統領と昭恵氏の会談について、「日本国内には依然として現政権の見解を近視眼的だと考える勢力がある。私は(ロシアとの)関係修復と対話再開が必要と考える人々のことを言っている」と、明確に語った。
ペスコフ報道官によると、安倍氏が首相だった当時、モスクワと東京はハイレベルで緊密な実務交流を行い、両国間の平和条約締結に向けた有意義な交渉を行ったという。報道官は、この外国人政治家がロシアとの関係構築に努め、プーチン大統領との関係は建設的で友好的であったと指摘した。(lenta.ru/news 2025/5/30)
