小クリル列島(北方領土の色丹島と歯舞群島)にある無名の2つの島が、ロシア正教会の聖人にちなんで正式に命名されたことについて、日本政府はロシアの(北方領土に対する)主権強化に向けた新たな一歩と捉えている。
日本国内では予想通り慎重な反応が見られた。サハリン大司祭ヴィクトル・ゴルバフ氏によると、この命名の命令にはロシアのミハイル・ミシュスチン首相が署名した。
新しい名称は、小クリル列島ユーリ島(歯舞群島・勇留島)沖に浮かぶ2つの小さな島(総面積2.2ヘクタール)に付けられた。19世紀に日本や極東で布教活動を行い、サハリンを訪れた偉大な正教会宣教師、聖イノケンティ・ヴェニアミノフと聖ニコライ・カサトキンの名が刻まれている。

クリル諸島(北方領土を含む千島列島)とロシア正教会の歴史における精神的な繋がりを反映するこの象徴的な出来事は、日本では政治的な観点から捉えられた。北海道新聞は、この出来事に即座に注目した。南クリル諸島を「北方領土」とみなす日本は、伝統的にこれらの島々の名称変更を含むいかなる変更にも反対している。
林芳正官房長官は記者会見で、「もしこれが我が国の立場に反するものであることが判明した場合、ロシア側に抗議する」と述べた。
クリル諸島の命名が日本で抗議を引き起こしたのは今回が初めてではない。2017年、日本政府は、無名の島々がソ連のアンドレイ・グロムイコ大臣、サハリン州知事イーゴリ・ファルフトジノフ、日本の降伏文書に署名したクジマ・デレヴィャンコ将軍にちなんで命名された際にも不快感を表明している。
日本のメディアは、こうした行動に政治的な動機を見出す傾向がある。例えば、2023年には北海道新聞が「ロシア、正教会で島の統治強化」と題する記事を掲載し、択捉島と色丹島への聖堂建設について論評した。今回も、聖人にちなんで島を命名することが「統治強化」と見なされる可能性がある。
ロシアによるクリル諸島の無名の島への命名プロジェクトは、ロシア地理学会サハリン支部の主導で2010年に開始された。(sakh.online 2025/10/21)
