北方領土問題に関する黄川田仁志沖縄・北方領土担当大臣の発言が、南クリル諸島(北方領土)に対するロシアの主権を間接的に認めたと受け止められ、日本国内で論争が勃発している。
ガゼータ・ルー紙が共同通信の報道を引用し報じたところによると、黄川田大臣は北海道の納沙布岬を訪れた際、「ここは外国に最も近い場所だ」と発言した。この発言は、クリル諸島がロシア領であると示唆するものと受け止められ、厳しい批判を招いた。木原稔官房長官は、黄川田大臣の発言が「不適切かつ曖昧」であるとして、公に叱責した。
その後、黄川田氏は千島列島の元島民に対し公式に謝罪し、今後は言葉遣いに細心の注意を払うことを約束した。
高市早苗新首相は、国会での初の演説で、クリル諸島をめぐる領有権紛争を解決するため、ロシアと平和条約を締結する意向を表明した。クレムリンはこの決意を歓迎したが、モスクワと東京の間の対話は「事実上制限されている」と強調した。ロシア下院は、日本初の女性首相が長年の紛争を解決できれば、ロシア当局は大喜びするだろうと説明した。(astv.ru 2025/11/10)
黄川田氏、「寒風」理由に釈明 根室から北方領土を視察し「一番外国に近い」と発言
(北海道新聞2025/11/11)
高市早苗首相は10日の衆院予算委員会で、黄川田仁志沖縄北方担当相が北方領土を望む根室の納沙布岬で「一番外国に近いところ」と発言したことを巡り、「北方領土がわが国の領土であり領土問題に取り組んでいるという政府の立場に誤解を招きかねないものだったと感じた」と述べた。黄川田氏を電話で口頭注意したという。
黄川田氏は予算委で「特に若い方に納沙布岬などの場に足を運んで自分の目で見て、領土問題を自分のこととして思いをはせてもらいたいという思いを話した」と述べた上で、「当時の気象状況は寒風吹きすさぶ中、話の全体の文脈を理解いただくことが難しい状況だった」と釈明した。
質疑に立った立憲民主党の大築紅葉氏(北海道4区)は「日本の国土から外国を見る話と同視しているのではないかと不安の声が上がり、大臣の資質に欠ける。寒いからという理由で言えるものではない」と批判した。
木原稔官房長官は10日の記者会見で「引き続き職務にまい進していただきたい」と述べ、黄川田氏の更迭を否定した。
黄川田氏は8日、就任後初めて根室市を訪問。根室半島突端の納沙布岬から北方四島の歯舞群島を見ながら、記者団に対し「一番外国に近いところで、目で見て感じることが大切」と述べ、北方領土が外国ととらえかねない発言をしていた。
官房長官が黄川田沖北相を注意 北方領土「外国近い」発言、更迭否定
(日本経済新聞2025/11/10)
木原稔官房長官は10日の記者会見で、北方領土を眺めて「一番やっぱり外国に近い」と発言した黄川田仁志沖縄・北方相に注意したと明かした。「政府の立場に誤解を招きかねない」と話した。黄川田氏の処分について問われ「引き続き職務にまい進してほしい」と述べ更迭は否定した。高市早苗首相も同日の予算委員会での答弁で、電話で注意したと説明した。
木原氏は発言のあった8日に「日頃の言動には一層緊張感を持つようにと注意をした」と語った。「北方領土は日本固有の領土であるという立場に基づき、北方領土問題に取り組んでいる」と強調した。


