クリル自然保護区の上級国家査察官ドミトリー・ソコフ氏が今年5月、国後島北部で新種のアズマイチゲ(Anemone raddeana Regel)を発見した。この見事な白い一重の花を咲かせた美しい早春の植物は、今年、クリル自然保護区の種のリストに追加された。
ソコフ氏は昨年4月28日、島北部のネリュジマヤ湾(※爺爺岳の北にあるソコボイ付近)の海辺の丘陵で、珍しい花を咲かせている植物に気づき、保護区の科学部門に写真を送付した。しかし、新種を保護区のリストに掲載するには、植物標本が必要だった。
今年5月8日、ソコフ氏はネリュジームイ岬とボドパドヌイ岬の間の海岸のほぼ同じ場所で、まばらに群生しているのを発見した。新種の発見かどうかを確認するため、2つの標本が同保護区の植物標本館に持ち込まれ、新種として登録されることになった。
アズマイチゲは4月から5月に開花し、6月に結実する。森林の河川や谷間の小川、斜面や草原の麓の肥沃で湿潤な土壌に生育する。この植物の主な分布は、ロシア極東(サハリン南部、ウスリー地域など)、日本(北海道、本州、四国)、中国(満州)、朝鮮半島。そして現在、南クリル諸島にも登録された。
「アネモネ」(風の花)という名前はギリシャ語の「anemos」(風)に由来する。いくつかの説があるが、第一の説は、この属のほとんどの種が春の強風の時期に開花すること。第二の説は、風に揺れるはかなく優雅な姿から名付けられたというものだ。キンポウゲ科(福寿草、トリカブトなどを含む)の多くの植物と同様に、アズマイチゲも有毒植物である。腹痛、嘔吐、消化不良を引き起こす可能性がある。(sakh.online 2025/5/19)

