国後島のクリル自然保護区がホオノキの開花を記録した。近年の気候変動により、開花時期は観察を開始した1997年頃に比べて約1か月早まっている。最も遅い開花日は2006年の7月11日、最も早い開花日は2023年の6月8日。同保護区のウエブサイトによると、国後島のトレチャコボ(秩苅別)のダーチャ村へ続く道沿いで、6月13日に地元住民が開花を確認している。
国後島は、ロシアでホオノキが自生する唯一の場所。最近まで、国後島のホオノキは「底が白い」ホオノキ(Magnolia hypoleuca)」と呼ばれていたが、植物学者たちは20世紀に広く使われていた以前の名称、倒卵形ホオノキ(Magnolia obovata)に戻すことを決定した。ロシアのレッドリストには、絶滅危惧種としてカテゴリー1に掲載されている。

ホオノキはトレチャコボ付近のほかにストルボフスカヤ・エコロジカル・トレイル、メンデレーエフ火山の斜面、メンデレーエフ空港の南側、中央部ユジノクリリスク(古釜布)に近い「クナシル・リゾート&スパ」の敷地内でも鑑賞できる。島の西海岸と東海岸では気候特性により、開花時期が平均10~12日も違う。島の太平洋側ではホオノキの花は遅く咲く。
クリル自然保護区では国後島ホオノキの個体群を保護するため、2019年に管理棟付近に希少植物種苗園を開設している。温室で種子から苗木を発芽させ、4~5年生まで育てた後、ユジノクリリスク近郊やトレチャコボ「ダーチャ村」、他の保護区や植物園の樹木コレクションに移植している。郷土博物館の近くでは2本のホオノキの苗木が順調に根付いている。レッドブックに掲載されているこの希少植物を、種子を含め自然環境から持ち出すには、ロシア連邦森林管理局の許可を得る必要がある。

ホオノキの花を愛でることは、クリル諸島の住民や島を訪れる人々にとって、徐々に伝統になりつつある。花は平均して2~3週間咲き、国後島の夏の到来を告げる。(astv.ru 2025/6/21)