国後島のクリル自然保護区は、希少種フタリシズカを絶滅の危機から救うため、移植作戦に取り組んでいる。
フタリシズカの分布の北限は国後島で、ロシアの他のどこにも生育していない。ロシアのレッドブックとサハリン州のレッドブックに絶滅危惧種1類として記載されている。
国後島では2014年にメンデレーエフ火山(羅臼山)のストルボフスキー温泉で初めて発見され、2016年には2カ所目がトレチャコフスキー温泉で確認された。
小さな個体群は、地滑りや他の植物によって駆逐される脅威にさらされている。2016 年には、生育する斜面の一部が滑り落ち、個体群の一部が死んだ。また、ササが生い茂ったためヴァレンティーナ川の近くではほぼ姿を消してしまった。
2020年、同保護区は、ロシア連邦保安局(FSB)から、保護区の希少植物種苗圃に保護群を作るために、フタリシズカの根茎を除去する許可を得て、栽培を開始。今年11月2日に、8株をヴァレンティーナ川近くのササが繁茂していない場所に移植した。
同保護区のエレナ・リンニク副所長は「今回の移植は最初の試みであり、成功することを願っています。生育する場所が多ければ多いほど、生存の可能性が高くなります。野生個体群は非常に脆弱です。ヴァレンティーナ川沿いでは、ササに追いやられて自然個体群が急激に減少し始めました。今回移植された新しい場所にはササがありません」とコメントした。
今回移植したフタリシズカが根付いたかどうかは、2025年の夏に判明する。この地域は特別な管理と監視下に置かれる。(クリル自然保護区ウエブサイト2024/11/5)




