国後島の春 タンチョウが日本の越冬地から戻ってきた

国後島の話題
ペシャノエ湖(クリル自然保護区の一部)に営巣するタンチョウのつがい。(2026年3月5日、アレクサンドル・ヤコブレフ撮影)

繊細なツルの世界

国後島の春は、サクラソウやクリル桜(チシマザクラ)、サハリン桜の開花、そしてタンチョウの帰還を意味する。今年は嬉しいニュースが早くも届いた。3月3日、クリル自然保護区のカメラトラップがペシャノエ湖(東沸湖)付近のシマハジロの採餌場でタンチョウのつがいを捉えたのだ。例年、国後島で越冬していたが、今冬は短い距離を移動して日本へ渡っていた。(クリル自然保護区ウエブサイト2026/3/12)

現在、国後島には7組のタンチョウ(Grus japonensis)が営巣している。タンチョウはツル類の中で最も大きく、体高は約1.6メートル、体重は7キロを超える。最も密集した生息地はベスロフスキー半島(ケラムイ崎)で、ここではタンチョウの分布は厳密に決まっており、1家族が地峡の付け根、2家族が中央部、そして3家族が最先端部にそれぞれ生息している。興味深いことに、昨年は半島の付け根で2組のタンチョウが目撃された。あるいは別のつがいが営巣を計画しているのか、単に渡りだったのか、判断するのは非常に難しい。

繁殖期には、ほぼすべての鳥が営巣地や採餌場所となる縄張りを積極的に守る。この行動は体内のホルモン変化によって引き起こされる。特にタンチョウは非常に縄張り意識が強い鳥と言える。よそ者がやって来て近隣の個体を追い出し、採餌場所を確保するのは容易ではない。

縄張り争いはまさに壮観だ。保護区の職員は、ペシャノエ湖のつがいと、日本で標識を付けられた若いメスとそのパートナーとの出会いを鮮明に覚えている。縄張り争いの際、タンチョウは攻撃的な行動を見せた。まず、鳴き声の決闘を繰り広げた。タンチョウの鳴き声は社会的なコミュニケーションにおいて重要な役割を果たす。つがいは特定の場所に営巣する権利を巡って鳴き声で競い合う。また、求愛行動の際にも鳴き声が聞かれる。

ペシャノエ湖周辺で縄張りを争うオスのタンチョウ。メスの1羽は日本で装着された足環を付けている。(2025年夏、セルゲイ・ステファノフ撮影)

鳴き声の後も、争いは続き、激しい体当たりとなった。タンチョウは羽ばたきでバランスを取りながら垂直に高く跳躍し、空中で脚、翼、くちばしで互いを叩きつけた。驚くべきことに、メスもオスと同様に縄張りを守ることに積極的だった。小競り合いの終盤、明らかな優位性の兆候は見られなかったものの、この出来事は決定的なものとなった。翌日、日本のつがいは係争地から立ち去り、それ以降、その縄張りに彼らが現れた記録はない。

タンチョウの家族。中央に親鳥のつがい、両脇に雛が並んでいる。セルノヴォドカ川(東沸川)の河口。(2025年1月28日、アレクサンドル・ヤコブレフ撮影)

タンチョウは長寿の象徴だが、その種自体は絶滅寸前だった。1940年代には個体数が危機的状況に陥った。しかし、ロシア、中国、日本による厳格な保護活動のおかげで、個体数は危機から回復した。現在、約1,900羽が北海道で越冬し、世界全体の個体数は4,000羽に達している。しかし、個体数は依然として危機的な状況にあり、タンチョウはロシアのレッドデータブック(カテゴリー1)の絶滅危惧種とサハリン州のレッドデータブックに掲載されている。

狩猟により急減しているアネハヅル

海外からは、より小型の近縁種であるアネハヅル(Anthropoides virgo)に関する憂慮すべきニュースが届いている。アネハヅルは体高が90cm未満、体重はわずか2.5~3.5kg。ロシアでは、アネハヅルはシスカフカス山脈、ヴォルガ川下流域、そしてトゥヴァ共和国とトランスバイカル共和国南部に生息している。地球上で最も小さく、最も優雅なツルであり、その姿は見る者を圧倒する。しかし、その美しさも銃弾から身を守ることはできない。

ロシア科学アカデミー生態進化研究所の上級研究員エレナ・イリヤシェンコ氏は、スーダンからの痛ましい映像を共有してくれた。紅海を渡ったアネハヅルが長期間滞在する最初の越冬地カスラで撮影された。

クリップ ФГБУ «Государственный заповедник «Курильский»

映像では、密猟者が油を見せている。これは絶滅危惧種のアネハヅルを調理するために使われた可能性が高い。カスラで撮影された映像には、186羽のアネハヅルが殺された様子が映っている。ハンターたちは拘束され、スーダンの法律に基づき訴追されるという。シンジャから送られてきた写真には、多数の鳥が殺されている様子が写っている。この動画と写真はソーシャルメディアに投稿されており、スーダンの法執行機関が把握していないこのような事例がどれだけあるかを考えると、恐ろしい。

ロシア南部に営巣するツルの渡りルートは、チャドとスーダンのアフリカの草原へと続いている。ツルは、何世紀にもわたって、遺伝的に深く刻み込まれた渡りルートを、都合よく変更することはできない。ロシアからアフリカへ向かうルートは、サウジアラビアを通過するが、そこでもハンターが待ち構えている。銃撃から逃れたツルでさえ、追跡によって安全に休む場所がなくなり、極度の疲労で死んでしまう可能性がある。

ツルは地上に降りたところをすぐに射殺される。剥製にされるものもあれば、食用にされるものもあるが、その根底にあるのは純粋なスポーツだ。多くの国民は快く思わないが、一部のサウジアラビアの首長にとってはステータスシンボルであり、ソーシャルメディアで賛同を得ている。これは無知による無差別射殺ではなく、減少しつつあるツル種の組織的な絶滅を意味する。また、サウジアラビアの密猟規制強化により、ハンターがスーダンやエジプトに渡り始めた可能性もある。アネハヅルのもう一つの渡りルートは、シベリア南部、カザフスタン、モンゴル、中国からインドへのルートである。残念ながら、このルートの空がツルにとって安全ではなくなって久しい。パキスタンとアフガニスタン上空を渡りながら、鳥は食用として撃たれている。

1990年代にはロシア南部に約4万羽のアネハヅルが営巣していたが、昨秋にはわずか3,000羽しか確認されていない。この急激な減少は、アネハヅルの生存そのものを脅かしている。ロシア科学アカデミーは、天然資源省に対し、アネハヅルの保護強化を要請した。現在、アネハヅルはロシアのレッドデータブックにおいて、ステータス2(個体数と分布が減少)、V(危急種)、そして優先保全措置IIIに指定されている。ロシアのレッドデータブックにおけるアネハヅルの保全ステータスを、タンチョウと同じ「絶滅危惧I種、優先保全措置I」に引き上げる提案がなされている。

私たちは、タンチョウのつがいが帰ってくるのを大変嬉しく思っている。しかしながら、ロシアの保護区だけで鳥を保護することは不可能だ。課題ははるかに地球規模のものであり、タンチョウは巣から遠く離れた越冬地まで、旅の全行程において安全でなければならない。私たちはタンチョウのつがいの観察を続けている。今シーズンが彼らにとって穏やかな季節となることを願っている。

ベスロフスキー半島の「ベラヤ」という名の雌とパートナー。(2025年12月2日、アレクサンドル・ヤコブレフ撮影)

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