サハリン州から出ないでエキゾチックな場所を体験できるチャンスがある。しかも、それはすぐ近くにある。「眠れる森の美女」、火山の飛行場、沸騰する湖…。これらは、国後島にわずか数日滞在するだけで見ることができるもののほんの一部に過ぎない。
サハリン島の州都の空港からわずか1時間のフライトで、国後島に着く。もちろん、この夢を実現するには、航空券をかなり早めに購入する必要がある。発売と同時に飛ぶように売れてしまうからだ。そして、天候にも恵まれなければならない。国後島の地元の人に相談した結果、10月に島に行くことにした。その時期はまだ暖かく、低気圧による長雨に見舞われるリスクは低いからだ。このアドバイスは的中した。10月初旬には日中の気温が20度以上になり、雨は主に夜に降った。まるで海南島やパタヤのような熱帯地方のようだ。
国後島に近づくと、飛行機は島の上空を旋回する。上空からは絵のように美しい海岸線を眺めることができる。メンデレーエフ空港の滑走路は活火山の斜面に位置しているため、非常に短いように見える。メンデレーエフ火山(羅臼山)は「眠れる森の美女」とも呼ばれている。その輪郭は、仰向けに横たわる少女の姿に似ている。国後島の住民は、この火山がいつまでも活動を続けてくれることを心から願っている。火山の噴火は、きっと息を呑むような光景だろう。現在、メンデレーエフ火山の温泉は、地域の中心地であるユジノクリリスク(古釜布)の住民に暖かさを提供している。
ユジノクリリスクは空港から23キロメートルの距離にある。飛行機で到着した乗客は、友人や親戚の出迎えがない場合は、バスで中心部まで行くことができる。ちなみに、バスの時刻表は決まっていない。
国後島はとても心地よい印象を与える。州の中心から離れているにもかかわらず、寂しさは全く感じない。24時間営業の店など、必要な観光インフラはすべて整っている。旅行者にとって魅力的なものにするための政府の努力が実を結んでいるのは明らかだ。近年、何千人もの観光客が国後島に押し寄せている。

国後島を巡るなら少なくとも1週間は必要だ。もちろん、1週間ではすべての自然の魅力を見るには足りないが、主要な場所なら十分に楽しめる。私たちは、ゴロブニン火山(泊山)のカルデラ、ストルブチャティ岬(材木岩)、メンデレーエフ火山の噴気孔地帯、ラグンノエ湖(ニキショロ湖)とその周辺を訪れ、ストルボフスカヤ・エコロジカル・トレイルを歩き、悪魔の指(ローソク岩)を数え、モンク・ロックス(僧侶の岩)の静寂を破った。この間、キスラヤ川で泳ぎ、温泉にも入った。

国後島はハイキングに最適な場所である。ルートはそれほど長くもなく、難度も高くない。レンタカーを借りて登山口まで行くこともできる。私たちはクマが心配だったので、ガイドを雇った。ちなみに、道中でクマには遭遇しなかったが、団体や個人の観光客にはほぼ必ず遭遇した。
ユジノクリリスクでは、野生動物を観察できる。夕方になると、キツネがゴミ箱を点検しにやって来る。ユジノクリリスキー岬(大岬)の灯台に行った時、ゴマフアザラシの群れが一斉に泳ぐ姿を見て感激した。この美しいザラシたちは、小さな入り江を気に入っていたようだ。どうやら魚は豊富で、この辺りを離れることはない。ゴマフアザラシは毎日観察できた。オジロワシが狩りをする様子やカモメが小魚の群れを捕食する様子を目撃するのに、それほどの幸運は必要ない。
また、国後島に来たら郷土博物館を訪れることを勧める。この地域の歴史に興味がなくても、この博物館は、人間の顔が彫られた火山弾「クナシル・スフィンクス」を見るために訪れる価値がある。地元の猟場管理人がメンデレーエフ火山の斜面で、重さ3トンの石を発見した。科学者たちは、この奇跡を誰が創ったのか確信が持てず、謎は未だに解明されていない。

州政府と南クリル地区が十分な注意を払い、国後島の開発を進めていることは明らかだ。街はコンパクトで清潔で整然としている。「快適な都市環境」プログラムに基づく「勝利公園」の改修や様々なプロジェクトは、まもなく完了する予定だ。先週、リマレンコ知事が国後島を訪問し、下水処理施設の建設とオトラダ村(近布内)への道路の補修状況を視察した。ユジノクリリスクには今年中にコミュニティセンターが開設される予定である。(sakh.online 2025/11/14)

