色丹島の小クリル自然保護区で、択捉島在住のバードウォッチャーであるエレナ・バルカノバさんが珍しいトモエガモ(Sibirionetta formosa)とマミチャジナイ(Turdus obscurus)に遭遇した。色丹島で確認されるのは初めてで、国立自然保護区「小クリル」の2025年版台帳データに追加されることになった。
エレナさんは野鳥観察のため9月27日から10月6日まで色丹島を訪れ、2種類の珍しい鳥を撮影した。クリル自然保護区の鳥類学者セルゲイ・ステファノフ氏とモスクワ国立大学ロモノソフ動物学博物館の鳥類学者が、エレナさんが撮影した写真から、これまで色丹島で観察されたことがないトモエガモとマミチャジナイと確認した。
トモエガモはロシアで最も美しく目立つカモの1種で、春の羽毛は虹色が見え、特徴的な遠くまで聞こえる「クロクロ」という鳴き声を立てて騒がしく飛び回る。ロシアのレッドブック(カテゴリー2 – 減少中)に掲載されている。生息地は東シベリアで、ステファノフ氏は「色丹島での渡り鳥の予想外の出会いです」と述べた。国後島のクリル自然保護区では何度か目撃情報がある。
エレナさんは、保護区の登録簿には記載されていないマミチャジナイの撮影にも成功した。「南クリル諸島(北方領土)では、毎年見られるわけではない小さな渡り鳥です。この秋、国後島で観察されました。この種の渡りが色丹島でも確認されたのは幸運でした。おそらく、ツグミ類が大好きなナナカマドの豊作と関係があるのでしょう」とステファノフ氏はコメントした。
今回の野鳥観察旅行で、エレナさんはマミジロヒタキやキビタキなど50種以上の鳥を観察した。オオジュリンとホオジロの飛翔を記録し、ヒガラの群れ(それぞれ50~70羽)に数多く遭遇した。
エレナさんが特に印象に残ったのはキバシリやチョウゲンボウの「狩り」だという。「彼らは木のてっぺんの高いところに隠れていたので、とても長い間待っていました。チョウゲンボウはわずか15分で3匹のネズミを捕まえました。狩りのたびに、木から草むらに飛び降り、枝に戻って獲物を食べていました」と語った。
択捉島生まれのエレナさんはバードウォッチングを初めて6年。主にクリル諸島(北方領土を含む千島列島)とサハリンを旅しており、シムシル島、オネコタン島、モネロン島にも行った。色丹島には過去3回訪問している。「クマがいない色丹島が大好きなので、また行きます」と話した。
クリル自然保護区はエレナさんの協力に感謝しており、国後島や色丹島を訪れる他のバードウォッチャーに珍しい鳥の発見を積極的に情報共有するよう呼び掛けている。(国後島のクリル自然保護区ウエブサイト2024/10/17)