日本政府は、南クリル諸島(北方領土)に高レベル放射性核廃棄物処分場を建設する可能性を認めたが、すぐに軽率な発言を謝罪せざるを得なくなった。日本の主要新聞の一つ、北海道新聞は、この問題に関する一連の記事を掲載した。(sakh.online 2025/1/30)
1月23日、日本政府の主催で、原子力発電環境整備機構(NUMO)の職員と一般市民の会合が東京で開催された。会合では、日本の原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の処分場の選定問題が話し合われた。核廃棄物処分場の問題は、ここ数年間日本当局を悩ませてきたが、その選定は「北海道のどこか」にほぼ決まった。
ご存知のとおり、千島列島の南の島々は日本では「日本の領土」とみなされ、「北方領土」(別名「北方四島」)と呼ばれている。日本の地図では、千島列島の択捉島、国後島、小クリル列島(色丹島と歯舞群島)は、北海道根室振興局の行政範囲に含まれている。(地理的には、シグナリヌイ島〚貝殻島〛までわずか3.7km)。
会議には45人が出席した。質疑応答の形式に移ると、予想外にも、次のような発言があった。「『北方領土』に処分場を建設し、ロシアをこのプロジェクトに招待したらどうでしょうか。この条件であれば、島々の返還問題は解決できるでしょう」
これは、出席者の1人が述べた発言で、誰なのかは報道されていないが、経済産業省幹部の反応は興味深いものだった。「これが実現可能であれば、魅力的な提案です」。また、NUMOの幹部はこう付け加えた。「一石三鳥、四鳥」-。
しかし、NUMOの職員はすぐに自分の発言について謝罪しなければならなかった。「一石三鳥、四鳥」という言葉は、NUMO理事の植田昌俊理氏の発言であることが判明した。1月29日、根室市(北海道北東端)で開かれた一般市民との会合で、彼は「深く反省している」と述べて謝罪した。
※1月29日の会合が開かれたのは根室市ではなく釧路市の誤り
植田氏は「一石三鳥、四鳥」という言葉を口走った理由を説明した。「軽率な発言でした。北方四島に思いをはせる人の心情を考えれば軽率な発言だった」と述べ、集まった人たちに対し、千島列島に処分場を建設するという考えにはまったく賛成していないと断言した。
武藤経済産業大臣も謝罪しなければならなかった。同大臣は1月29日、北海道の鈴木直道知事に電話し、謝罪した。武藤氏は知事に対し、「今回の発言は適切ではなくおわびしたい。今後は2度と同じようなことがないよう対応を徹底していく」と語った。
なぜ大臣は知事に謝罪したのか。どうやら、28日に北海道が省庁とNUMOの両方に口頭で抗議し、「北方領土は北海道の一部であり、島の元住民に対する理解と配慮が不十分である」と非難したためだ。
北海道新聞が指摘しているように、島は現在「ロシアの事実上の管理下にあり、元島民(1945年8月15日以前に生まれた人 – 編集者注)でさえそこに行くことができない」。ロシアと日本の関係悪化により、日本と島の間のビザなし交流は2022年以降終了している。
地震の危険がある島々に核施設を建設することを検討するという愚かな発言は、議論する価値すらない。また、ロシアの主権を疑問視した発言について、サハリン州当局や住民、特に南クリル地域の住民に謝罪する人が誰もいないという事実にもこともあるが、過去にはもっとひどい発言もあった。
2019年5月、日本の国会議員丸山氏はビザなし交流で国後島を訪問した際、酔っ払って周囲に軍事的手段で島を取り戻す可能性があると示唆した。丸山氏の考えを録音したものが日本で公になり、スキャンダルが勃発した。丸山氏自身は酔いが覚めて(日本国民に)謝罪したが、日本の政治生活から追放されることはなかった。
もう1つ心配なことがある。クリル諸島に核廃棄物貯蔵施設を建設する試みがすでに行われていたが、明らかにこの目的ではない。2000年代初頭、ロシア原子力省はシムシル島(中部クリル諸島)に放射性廃棄物の恒久貯蔵施設(いわゆる最終処分場)を建設しようとしていた。同島のクルチャトフ研究所の敷地内に大量に蓄積された核廃棄物を埋める計画だった。また、海外からの放射性廃棄物を埋める(そして国庫を補充する)ことも想定されていたが、州政府と議会は島々を守ることに成功した。
千島列島で建設事前調査へ ロシア初の核廃棄物処分(共同通信2002年7月3日)
【モスクワ3日共同】北方領土に近い千島列島(クリール諸島)のシムシル島(新知島)にロシア初の核廃棄物最終処分場の建設が検討されている問題で、ロシア・サハリン州の推進団体が7月にも地震・地質学者と契約し、独自に建設のための事前調査を始めることになった。
計画を推進するシャシューリン下院議員が3日までに共同通信に語った。
同処分場は、原子力発電所から出る低レベル放射性廃棄物の処分地に悩む台湾の電力会社が、ロシアの原子力関連の研究所との間で検討を開始。漁業以外に主要な産業がなく、高失業率に悩むサハリン州の市民団体が地元振興のため、誘致に乗り出した。
しかし、この地域に地震が多いなどの理由で、ロシア原子力省が計画に消極的であることから、今回の調査で建設の安全性を証明、誘致に弾みをつける狙いとみられる。
シャシューリン議員によると、調査にはサハリン北東部沖の石油・天然ガス開発計画の調査に加わった専門家も参加。年末までに調査結果をまとめる予定。
結果はサハリン州議会に提出。州議会に処分場誘致を決議するよう働き掛け、州知事にも誘致運動を展開するよう要請する。