2月7日に日本で広く祝われる「北方領土の日」を前に、日本の代表的な右派系出版物「産経新聞」は、データ分析者の西山諒氏による「北方領土は200メートル近いかもしれない。これまでずっと古い軍地図を使ってきた」という派手なタイトルの記事を掲載した。
日出ずる国(注:日本のこと)における「北方領土」とは、ロシアの管轄下にあるクリル諸島の南の島々を指す。数十年にわたり、東京は南クリル諸島に対するロシアの領有権を争い、同諸島を厳重に監視してきた。
日本人は、地理を含め、クリル諸島に関するあらゆることに関心を持っている。前述の記事で議論されている200メートルの誤差は取るに足らないように思えるが、北海道の北東端である納沙布岬から千島列島のシグナリヌイ島(貝殻島)の南西岸までの距離が、一般に信じられているようにわずか3.7キロであることを考えると、すべてが納得できる。
「北方領土」は、実は日本沿岸にずっと近いのだ。日本人にとっては、これはおそらく、南クリル諸島(北方領土)が北海道の自然な延長であるという主張を強めるものであろう。
実際のところ、納沙布岬とシグナリヌイ島の間の距離は、日本とロシアの間の距離(サハリンと北海道の間 – 43キロ)の中で最も短い。しかし、日本ではそうは考えておらず、ロシアまでの距離を択捉島とウルップ島の間で測ることを好んでいる。
シグナリヌイ島は日本の地図では貝殻島と呼ばれ、日本では日本領とみなされている小さな歯舞群島(ロシア名はユーリ=勇留島、タンフィリエフ=水晶島、アヌーチナ=秋勇留島、ゼリョーヌイ=志発島、ポロンスキー=多楽島など)の一部である。
ロシアの地図では、この島々は色丹島とともに小クリル列島にまとめられており、行政上はロシア連邦サハリン州の南クリル地区の一部となっている。
産経新聞の記事の著者は、納沙布岬からシグナリヌイ島の灯台までの距離が「日本政府が発表した」3.7kmではなく、200メートル近い3.5kmであることが判明したと書いている。国土地理院のウエブサイトに掲載された地図で計測した結果、このような結論に至ったという。
「北方領土」の各島までの正確な距離は、公式データとは多少異なる可能性があるとアナリストは結論づけている。事実、2010年代に衛星データを使用して「北方領土」と隣接海域の地図が作成され始めるまで、日本は旧陸軍の地形図を使っていた。
アナリストは「貝殻島までの距離は、北方領土返還運動で使用される重要な数字の1つになっており、国や根室市当局、北方領土問題対策協会などが長年、このデータを広報活動に使用してきた」と指摘する。
より正確に言うと、両岸の距離は3,510メートルである。また、国土地理院が発行した地図をよく見ると、シグナリヌイ灯台の北西には岩礁があり、この岩礁までは3,460メートルとなっている。
地球は幾何学的な球体ではなく、楕円体に近い形をしているという事実に基づいて、1960年代後半に公式に承認された択捉島を除く北海道沿岸から南クリル諸島の島々までの距離はすべて、実際には歪んでいることを認識する必要があると、著者は主張している。特に、色丹島までは73.3kmではなく、国土地理院の地図によると73.764kmであり、国後島までは16kmではなく16.124kmである。納沙布岬から択捉島までの距離は144.5キロではなく、144.504キロだ。
日本の軌道衛星「だいち」は2011年以来使われていない。後継機の衛星「だいち3号」は2023年3月に軌道に乗せられるはずだったが、ロケットの打ち上げは失敗した。欧州宇宙機関が提供した衛星画像によると、「歯舞群島」の小島の海岸線は長年にわたり海の波の影響で大きく変化しているが、日本にはこれを検証し、島々の正確な地形調査を行う能力がない。
「明日2月7日は北方領土の日。返還を求める運動を発展させていく日です。島々までの距離を最新の地形測量で測定し、データを更新してほしい」と筆者は結論づけている。
日本は領土紛争に関するあらゆることを非常に真剣に受け止めている。また、中国(南シナ海の尖閣諸島(釣魚島))と韓国(日本海の竹島(独島))に対しても領有権を主張している。
クリル諸島のシグナリヌイ島は、日本に極めて近いため、領有権紛争の存在によって複雑化している日露関係において、繰り返し障害となってきた。1936年に日本がシグナリヌイ島に建設し、現在も使用されている灯台は、島自体にあるのではなく、満潮時には水面下2メートルに水没する砂州の上にあることに留意すべきである。風雨の影響で、灯台は極めて緊急事態に陥り、塔が傾いている。
灯台は2014年11月まで稼働していた。2023年8月26日、ロシア地理学会のメンバーが島に上陸。灯台の壁を白く塗り、明かりを灯した。さらに、灯台にロシア国旗が掲げられ、正教会の十字架が設置された。これを対岸から観察した人々は、その後、これらの行為は受け入れられないとして抗議した。
2024年6月17日、シグナリヌイ島付近を航行していた日本の海上保安庁巡視船の乗組員が、灯台が消えたと報告した。また、毎年、日本の漁師たちはシグナリヌイ島海域でコンブの採取を行っている(1963年に締結されたシグナリヌイ島海域での海藻採取に関する二国間協定の枠組み内で毎年行われている)。日本側は外交ルートを通じて、ロシアに対し、航行の安全を確保するため灯台の安定した運用を再開するよう要求した。一方、モスクワは、7月15日から修理・保守作業が完了するまでコンブの採取を一時停止することを決定した。
日本は、クリル諸島南部の島々、日本では一般に「北方四島」と呼ばれている択捉島、国後島、色丹島と歯舞群島の領有権を主張している。2022年3月に東京が国際的な対ロシア制裁に加わった後、モスクワは領土紛争の解決を目指した平和条約締結交渉から一方的に撤退した。これは、南クリル諸島海域における海洋生物資源の採取に関する二国間協定(安全操業)の実施に影響を及ぼした。
この文脈で、日本沿岸からクリル諸島までの距離の正確な測定がどれほど重要であるかは、修辞的な問題である。(sakh.online 2025/2/7)
