サンクトペテルブルク国立大学の植物学者らがクリル諸島(※この場合、北方四島)で景観生態学的研究を実施し、ササが土壌劣化を防いでいることを発見し、研究結果が科学誌「Contemporary Problems of Ecology」に掲載された。
植物学者らは、ロシア政府からの助成金を受けて、択捉島、国後島、色丹島で包括的な地質生態学的研究を実施し、これらの島の景観が人為的影響に対してどの程度耐性があるかを評価した。その結果、ササは土壌の浸食や劣化などの外因性地質学的プロセスを防ぐ上で重要な役割を果たしていることが判明した。
調査の中で、科学者らは、研究対象の島々の植生被覆に混乱があることを発見した。最も大きな混乱は、20世紀前半に日本人によって森林が大幅に伐採された色丹島で見られた。人為的な変化は島の約30%で記録されていた。主に開拓地や火災が発生した場所で、2種類のササ、Sasa senanensis(クマイザサ)とSasa kurilensis(チシマザサ)が現れた。
同大学地質生態学部のマリーナ・オペクノワ教授は「ササは活発な植生活動と通行の困難さにより、さまざまな衝撃に対して最も耐性がある。さらに、ササは根茎で土壌をしっかりと保持し、土壌の浸食と踏みつけを防ぐ。雑草は最大100%のササ原を突破できない。ただし、ササ原は火災の危険があることに留意する必要がある」と話す。
ササの形成は、南クリル諸島(※北方四島)の植物群落の発達における自然な段階で、このプロセスにより、土壌の劣化が防止され、森林が回復する。ただし、科学者が指摘するように、ササこの能力は、他の地域での土壌劣化の防止には使用できない。ササは急速に成長し、在来の植物を駆逐する可能性があるためだ。(タス通信2024/9/3他)
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