「極東クルーズ」来年5月開始 ウラジオ発~サハリン~国後島・択捉島~カムチャツカ 1,400人乗りアストリア・ノヴァ号使用 10日間で31万円から

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沿海地方のウラジオストクを出港しサハリン、国後島、択捉島、カムチャッカ半島を結ぶ最初の極東クルーズが2026年5月に予定されている。ウラジオストク、コルサコフ(サハリン)、ユジノクリリスク(国後島・古釜布)、クリリスク(択捉島・紗那)、ペトロパブロフスク・カムチャツキーを巡る10日間の航海となる。そこから、観光客は飛行機で帰国するか、定期船でウラジオストクに戻り、復路でコマンドルスキー諸島とチュレニー島を訪れることができる。(atorus.ru2025/9/4)

ウラジオストクで開かれている東方経済フォーラムの一環として「極東クルーズ観光」セッションが開催され、専門家たちは最初のクルーズがどのようなものになるかについて議論した。

クルーズは、1,400人以上の乗客を乗せることができる「アストリア・ノヴァ号」が使用される。新型ディーゼル電気船は、極東クルーズのために特別に購入されたもので、黒海で国際航路を運航する姉妹船「アストリア・グランデ」よりやや大型となり、ロシア国旗を掲げて航行する。

船内には、8つのテーマバーとレストラン、1,000席の劇場とコンサートホール、スパゾーン、フィットネスセンター、屋外プール、運動場などがある。

極東クルーズの企画・運営を行う、最近設立された「ロシアクルーズカンパニー」傘下の株式会社「KS-ストラテジック・アライアンス」のキリル・シュブスキー会長によると、「アストリア・ノヴァ」は夏季を含め約4~5ヶ月運航する予定。

国後島、択捉島などの沿岸インフラ整備が不可欠

多くの専門家が指摘しているように、これらの地域のインフラは、国際クルーズを含む海上クルーズの就航に向けて概ね整備されている。

沿海地方のオレグ・コジェミャコ知事は「ウラジオストク市民にとって、これは以前から存在していた航路の再開となる」と指摘した。パンデミック以前は、同市には年間最大30隻の外国クルーズ船が寄港していた。また、サハリンとカムチャツカ地方には年間8隻の観光船が寄港していた。

しかし、新しい航路には、これまで大規模なクルーズ観光客がほとんど訪れなかった多くの島々が含まれている。近い将来、沿岸インフラ全体を再構築する必要がある。少なくともテンダーボートで乗客を下船できるようにすることから始め、休憩、トイレ、軽食、お土産の購入など、様々な施設の整備が求められる。

船会社によると、特に注意が必要なのは国後島、択捉島、サハリン島、オネコタン島、アトラソワ島、チュレニー島、コマンドルスキー諸島だ。

クルーズ船の航行は、他の港湾都市のインフラにも大きな影響を与える可能性がある。船内で宿泊する外国人クルーズ客とは異なり、ロシア全土や海外から極東に到着する「アストリア・ノヴァ号」の乗客は、ウラジオストクやペトロパブロフスク・カムチャツキー市内にさらに多くのホテルを必要とする。さらに、ホテルまでのロジスティクスや、クルーズ前後の観光プランについても問題が生じる。

料金は1人17万ルーブルから

極東クルーズの費用はいくらになるのか?そして、誰が参加するのか?シュブスキー氏がセッションで発表したクルーズ1日の1人当たりの暫定費用は1万7,000ルーブル。

これは、ソチ発黒海沿岸を航行する「アストリア・グランデ号」のクルーズ(同1万3,500ルーブルから)よりも若干高額となっている。しかし、「プロフェッサー・クロモフ号」や「アカデミシャン・ショカルスキー号」の極東探検クルーズ(同3万ルーブルから)よりは安価だ。

とはいえ、極東3地域を巡る10日間のクルーズの平均費用は、1人当たり17万ルーブルからとなる。これは航空運賃やその他の費用は含まれておらず、かなり高額。ロシア連邦経済発展省のドミトリー・ヴァフルコフ副大臣は「この商品のプロモーションは一般消費者向けに設計されるべきではありません。これは、旅で既に多くのものを見てきた人々にとって、依然として興味深い特別なツアーです」と指摘した。

将来のクルーズ客の中心となるロシア人に加え、専門家は外国人観光客にも期待を寄せている。まず第一に、ロシアへの入国に電子ビザを取得できる東南アジア諸国の居住者、そしてカムチャツカ半島やロシア極東のユニークな自然景観に魅了されるあらゆる外国人。

クルーズ客用に極東行きのチャーター便が必要

クルーズ観光客の増加は、極東行きの航空会社の運航計画に大きな変更を迫るとみられる。ロシア国内だけでなく、場合によっては外国からの乗客も対象となる。

まず第一に、便数の増加が予想される。というのも、特定の日に定期船で航行する乗客1,000人を、ほぼ同時に、かつ定期的に輸送する必要があるからだ。スホーイ・スーパージェット100の場合、これは14便の増加に相当するが、オーロラ航空の副社長オレグ・イェメツ氏は「機材の増強なしには実現不可能」と語った。

航空券の価格と迅速な入手性の問題も非常に深刻だ。専門家によると、関係者はクルーズ専用のチャーター便を手配し、フライト料金を一般的なツアーパッケージに含めるという解決策を検討する必要がある。外国人観光客向けのチャーター便も含まれる。

いずれにせよ、航空輸送の問題は近い将来に解決されるはずだ。今後のクルーズのスケジュールは9月末までに発表される予定で、極東クルーズの最初のチケット販売が、その後の多くの取り組みの実現可能性を示すものとなるだろう。

※写真はいずれも姉妹船「アストリア・グランデ号」全長193.30 m、全幅27.58 m、喫水6 m、最高速度37 km/h、乗客数1,328名、乗組員数370名

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