ギドロストロイ社の城下町「択捉島」で何が起きた? 行政府が「違法建築」として営業許可を出さなかった同社豪華ホテル 仲裁裁判所が合法と決定

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北方領土・択捉島の観光名所ヤンキト高原(内岡近郊)に、同島発祥の大企業「ギドロストロイ」が建てた4,000平方メートルを超えるホテルについて、同島を管轄するクリル地区行政府が「違法建築」として営業許可をしなかった問題で、サハリン州仲裁裁判所は「ホテルは合法」という決定を下した。

2023年5月2日、ギドロストロイは、「ヤンキト多機能センター」の建設許可を受けたが、さまざまな段階で国家の専門家を関与させずに建設した。さらに、建設地は自社の敷地ではなかった。サブリース契約に基づいて、ギドロストロイ・グループの漁業会社クリリスキー・ルィバクが借りている土地を手に入れた。また2024年3月にはホテルの階数と面積を恣意的に変更し、建物は2024年7月に完成した。

2024年11月、ギドロストロイはクリル地区行政府に営業許可を求めた。しかし、行政府は開発に関して重大な見落としがあったと指摘した。建設された施設が技術規制と設計文書の要件に準拠しているかどうかについて、国家建設監督機関からの結論を得られなかったため、許可を出さなかった。

この事態を受けて、開発者はサハリン州仲裁裁判所に訴えを起こし、考えられるあらゆる調査を行い結果を裁判所に提出した。とりわけ、連邦消費者権利保護・福利監督局サハリン州当局が昨年7月に施設をホテルとして使用することについて「可能」と結論を下した。

2024年5月には、設計会社インジストロイが建物の火災安全性に関する調査結果を発表し、
非政府機関の「建設の専門知識プロジェクト」がホテルの設計文書はが技術規制の要件、衛生および疫学的要件、環境保護分野の要件、文化遺産の国家保護の要件、原子力エネルギーの安全な使用の要件、産業安全要件、電力システムおよび電力施設の提供と安全性の要件、施設のテロ対策の要件、開発者または技術顧客の設計委託、およびエンジニアリング調査の結果に準拠している、という結論を出した。

また、昨年 10 月、建設会社サハリンストロイコントロリは、完建設工事と設備設置工事の適合性を確認するための包括的な技術レポートも作成した。同社は、建設工事が建設、都市計画、衛生、およびその他の基準に準拠して行われたことを示した。

行政府は、あらゆる方法でホテル建設を合法と認めることを拒否していたが、仲裁裁判所のロマン・イェシン裁判官はホテルを合法と認めた。(sakh.online 2025/3/3)

約31億円でアクセス道路建設中、「私企業のために、なぜ」一部に批判も

ヤンキト複合施設は択捉島のオホーツク海側にあるヤンキト高原に建設された4階建ての高級ホテル。工事の請負業者はクリル諸島最大の組織であるギドロストロイ。プロジェクトへの総投資額は10億ルーブルを超え、雇用数は62人。

さまざまなカテゴリーの客室54室(スタンダード38室、スイート16室)、景色を楽しめる30席のレストラン、会議室、スパエリア、テニスコートも整備。複合施設にはウォーキングエリア、ラグーンまである。

ギドロストロイは十数年前からヤンキトに 1泊5万ルーブル超のVIP ルーム 9 室を備えた超豪華なゲストハウスを構え、隣接して8 室の比較的安価なホテルも建てられている。ホテルの向かい側にはギドロストロイの大きなサケ養魚場がある。

港があるキトヴィ(内岡)とヤンキトの高級ホテル複合施設を結ぶ4.1kmのアクセス道路の建設が2023年からスタート。供用開始は2026年。事業費は18億ルーブルで、1kmあたりの費用は4億4,660万ルーブルとなる。

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