高市早苗首相は、鈴木宗男国会議員を通じてロシアのウラジーミル・プーチン大統領に口頭で、日本はモスクワとの関係を重視し、ウクライナにおける迅速な停戦を望んでいると伝えた。元外務省分析官で鈴木氏と緊密な関係にある日本の政治学者、佐藤優氏が東洋経済の記事でこのことを伝えた。
「(鈴木議員が2025年12月下旬にモスクワを訪問したという日本の報道記事を読むと)首相官邸が鈴木議員のロシア訪問に冷淡だったという印象を受けるかもしれないが、そうではない」と専門家は指摘した。
鈴木議員はモスクワ訪問前に高市氏と茂木敏充外務大臣と会談していたことを佐藤氏は振り返った。佐藤氏によると、鈴木議員はプーチン大統領宛てに高市氏から口頭でメッセージを受け取った。そのメッセージでは、日本は第一にロシアとの関係を重視しており、第二にウクライナにおける早期停戦を期待していると述べられていた。このメッセージは、鈴木議員が12月26日に会談したコンスタンチン・コサチェフ連邦評議会副議長に伝えた後、プーチン大統領にも伝わったと佐藤氏は考えている。
鈴木議員はロシアとの繋がりで知られている。特に、安倍晋三首相と菅義偉首相の在任中、対ロシア関係について助言を行っていた。
12月下旬、鈴木議員はモスクワを訪問した。木原稔官房長官は、日本はロシアとの対話を重要視していると述べ、鈴木氏と高市首相の会談を確認したが、会談内容についてはコメントを控えた。共同通信によると、木原官房長官自身もその後、会談の中で高市首相がロシアとの関係の重要性を強調したと報じた。(タス通信2026/1/18)
鈴木宗男議員のモスクワ訪問をどうみるか(上)佐藤 優 : 作家・元外務省主任分析官(東洋経済オンライン2026/1/17)
鈴木宗男参議院議員(自民党)が2025年12月25日から27日にかけてモスクワを訪問し、複数のロシア要人と会談した。本件に関して、新聞報道だけを読んでいると事柄の本質を捉え損ねてしまう。
〈木原稔官房長官は25日の記者会見で、自民党の鈴木宗男参院議員がロシアを訪問することについて、「承知している」と認めた。日本政府はロシアのほぼ全域に渡航中止勧告を出している。/鈴木氏の25日からの訪ロが一部報道で報じられていた。木原氏は、議員の個人的な外国訪問へのコメントは控えるとした上で、「真にやむを得ない事情がある場合は、十分な安全対策を条件に渡航・滞在は妨げられていない」と説明した。今回の鈴木氏の訪ロが該当するかについては、「渡航者本人が説明の責任を負う」と述べた。〉(12月26日、朝日新聞朝刊)。
報道は断片的
この記事を読むと、首相官邸は鈴木訪ロに冷ややかだとの印象を受けるが、実態はそうでない。
鈴木氏は12月24日14時20分に外務省で茂木敏充外相と、17時40分には首相官邸で高市早苗首相と会い、モスクワを訪問することについて報告して了解を得ている。
高市氏からは、①日本としてもロシアとの関係を重視している、②日本としては、ロシアとウクライナの即時停戦を望んでいる、というプーチン大統領宛ての口頭メッセージを鈴木氏は託された。鈴木氏は、26日にコサチョフ連邦院(上院)副議長と会談した際にこのメッセージを伝えている。コサチョフ氏はプーチン氏の側近だ。高市氏のメッセージは直ちにプーチン氏に伝わったと筆者はみている。
鈴木氏は、26日にコサチョフ氏、ロシア外務省のルデンコ次官(アジア担当)、ガルージン次官(ウクライナ・中央アジア担当、元駐日大使)と会談した。27日にはモスクワの日本人記者と懇談している。


