「択捉島水産会」代表管理役・駒井さん死去 領土返還運動に情熱 温和な人柄 関係者悼む

 

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 北方領土択捉島の漁業者の子孫らでつくる「択捉島水産会」(函館)の代表管理役を務めた駒井惇助さんが、2月28日に亡くなった。86歳だった。領土返還運動に情熱を傾け、旧ソ連の実効支配後に更新されていない、元島民の漁業権の補償問題解決に向け尽力した。故人の温和な人柄に対し、地元の仲間たちからは悼む声が相次いだ。(北海道新聞函館道南版2022/3/8)

駒井さんは函館出身。曾祖父から父までが択捉島で漁業を営んでいた縁で、1971年から40年間にわたり、北方領土復帰期成同盟渡島地方支部事務局長を務め、2012年からは択捉島水産会の代表管理役に就いた。昨年4月に脳梗塞で倒れ、市内の介護施設に入所していた。

 「偉ぶらず、温和。それでいて、鋭い批判意識を持ち合わせた人だった」。択捉島水産会事務所がある函館市地域交流まちづくりセンターの丸藤競センター長は、その人柄を惜しみ、駒井さんが使っていた机の上に花を飾った。

 1923年(大正12年)に択捉島で発足した同会は49年以降、休眠状態にあったが、2014年に駒井さんが65年ぶりに事務所を復活。資料を管理し、領土問題解決後の漁業権の補償への対応に備えつつ、高齢化が進む会員の連携を強化した。同会の平出陽子顧問は「駒井さんの熱意に突き動かされ、私たちは前に進んできた」としのんだ。

 駒井さんが同会の関係者や知人らに宛てた手紙をパソコンで入力するなど活動を支えた函館市の主婦木曽友理子さん(53)は「駒井さんの昔話を聞くのがとても好きだった」。駒井さんの依頼で、北方四島をテーマにした曲を作った函館市内のミュージシャン高島啓之さん(52)は「身だしなみもいつもきちんとして、ロマンチックな方。駒井さんの思いを歌でつないでいけたら」と語った。(矢野旦、伊藤友佳子)

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