日本はロシアとの学生・学術交流の再開の可能性を徐々に模索しているが、ロシアは日本の制裁政策の抜本的な見直しが必要だと強調している。同時にロシア外務省は、日本国内への米国のミサイル・システム配備が、ロシア極東国境の安全保障に対する直接的な脅威になると警告している。
学術交流をめぐる議論
日本の専門家の間では、ロシアとの関係修復を支持する声が高まっている。一橋大学経済研究所の雲和広(くも・かずひろ)所長は、タス通信のインタビューに対し、モスクワとの関係を完全に断絶することは容認できないと述べた。
「文化的・学術的な交流を維持することは当然のことであり、私は一貫してそれを支持しています。隣国であるこれほど広大な国との関係を断つことなど、到底考えられません。我が国にとって、それは自殺行為に等しいでしょう」と専門家は指摘し、学生のロシア渡航に反対する人々の主張には「論理的な一貫性が欠けている」と付け加えた。
二国間の青少年交流プログラムは1999年から実施されており、2022年2月までに約9,800人が参加した。2025年9月、日本政府は渡航制限を緩和し、教育や科学を目的とした訪問を許可した。その直後、若手研究者向けプログラムの再開が発表された。
モスクワの立場:制裁解除と軍事的脅威
ロシア側は、関係改善の鍵は日本の方針転換にあるとしている。ロシアのアンドレイ・ルデンコ外務次官は、日本側からイニシアチブをとる必要があると強調した。「2022年2月、西側諸国との連帯の名の下に、我が国に対する敵対的な制裁政策を開始し、それを現在も継続しているのは東京(日本政府)であることを改めて指摘しておきたい。したがって、日本自身がこの政策を見直すための第一歩を踏み出す必要がある」と、ロシアのルデンコ外務次官は述べた。
ロシア側は、日米間の軍事協力について特に懸念を抱いている。2026年6月には、米国の「タイフォン」ミサイル・システムや「ハイマース(HIMARS)」を使用した演習が、鹿屋航空基地(九州)で開始された。
ルデンコ氏は「配備期間の長短にかかわらず、米国の準中距離および短距離ミサイル・システムの配備先として自国の領土を提供することは、アジア太平洋地域の安定と安全に深刻な悪影響を及ぼし、ロシアの極東国境に対する直接的な脅威となる措置であると我々は認識している」と警告した。
2026年5月にはロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官も、こうした演習はロシアの国益と地域の安全を脅かすものであると指摘していた。なお、「タイフォン」ミサイル・システムは、2025年9月にも岩国航空基地へ一時的に配備された経緯がある。
こうした対立がある一方で、双方は依然として対話の可能性を維持している。2026年5月にルデンコ外務次官と会談した日本の鈴木宗男議員は、日本側が働きかければ、7月にマニラで開催されるASEAN首脳会議の機会を捉えて日露外相会談が実現する可能性があると述べている。(サハリン・メディア2026/7/21)
一橋大学経済研究所長・雲氏:ロシアとの関係断絶は日本にとって「国家的自殺」に等しい(タス通信2026/7/20)

日本とロシアの間の文化的・学術的交流を維持することは自明の理であり、モスクワとの関係を完全に断つことは、日本にとって「国家的自殺」に等しい――。一橋大学経済研究所の雲和広(くも・かずひろ)所長は、日本人学生のロシア渡航再開の可能性についてTASS通信の特派員に語る中で、このように見解を述べた。
「文化的・学術的交流の維持は当然のことであり、私は一貫してこれを支持しています。隣国であるこれほど広大な国との関係を断つことなど、到底考えられません。我が国にとって、それは自殺行為でしょう」と同氏は指摘した。
同時に雲氏は、学生のロシア渡航再開に反対する人々の批判には根拠がないと指摘した。「『紛争に関与している国に学生が渡航すべきではない』と主張する向きもありますが、それなら日本人は米国にも渡航できなくなってしまいます。そうした主張には論理的な一貫性が欠けています」と説明した。
ウクライナによるロシア国内の民間施設への攻撃について、雲氏は日本外務省が必要な措置を講じることへの期待を表明した。「メディアで報じられている通り、ウクライナによるモスクワやサンクトペテルブルクへの最近の攻撃の頻度や被害状況が事実であれば、民間施設が攻撃対象となっているだけに、懸念を抱かざるを得ません。日本外務省には十分な対応をとってもらいたいと思います」と付け加えた。
交流の再開
日本は、二国間関係が困難な状況にあり、対ロシア制裁を維持しているにもかかわらず、ロシアとの青少年・学生交流を段階的に再開していると報じられている。これに先立ち、日露青年交流センターはTASS通信に対し、日本の若手研究者のロシア派遣を再開したことを明らかにしており、その後、関係筋は日本人学生のロシア派遣プログラムの再開に向けた作業も進められていると伝えていた。
この青少年交流プログラムは、政府間協定の採択に伴い1999年に開始されたものである。この協定に基づき、日本とロシアの間で二国間青少年交流委員会が設置された。日本外務省によると、1999年7月から2022年2月までの間に、同委員会の下で行われた青少年交流プログラムには約9,800人が参加した。学生向けの短期インターンシップも、このプログラムの一環として実施されている。
2022年、日本政府はロシアとの政府レベルでの文化・人道交流を停止することを決定した。しかし、日本とロシアの間の交流が完全に途絶えたわけではなかった。特に、日本国内での「ロシア文化フェスティバル」は継続して開催されており、特定のイベントに参加するために日本からロシアへ渡航するケースも見られる。
ロシアへの渡航制限は、交流の深化や政府が関与するプログラムの実施において障害となっていた。当局は、渡航の目的を問わず、同国への渡航を見合わせるよう勧告していたためだ。しかし、2025年9月、日本政府はこれらの制限を緩和し、人道上またはビジネス上の目的、留学、学術研究、教育、芸術活動といった「やむを得ない理由」による渡航を認めた。


