昆布大好き、富山県民 背景に「北前船」と「北方領土」

総務省による2020年の家計調査でも、富山市の1世帯(2人以上)当たりの昆布への年間支出額は、全国平均の847円の2倍以上となる1887円で全国1位。昆布が大好きな富山の食文化の背景には、日本海を中心に江戸から明治期の交易を担った「北前船」の存在があります。富山で米や薬を積み込む一方、北海道から昆布やニシンが持ち込まれました。また開拓のため北海道に移った県民も故郷に贈ったそうです。コンブ漁のために北方領土の島々に渡った県民も多く、先の戦争で北方領土から引き揚げた人が多い都道府県は、北海道に続き、富山県が2番目に多いのも、昆布好きが背景にあるようです。(北日本新聞2021/4/11)

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昆布への年間支出額全国1位の富山 昆布好きすぎ県民に食べ方を聞いてみた

富山県民のソウルフードと言えば、昆布!

 総務省による2020年の家計調査でも、富山市の1世帯(2人以上)当たりの昆布への年間支出額は、全国平均の847円の2倍以上となる1887円で全国1位。データがある1960年以降、2位だった2013年を除いて60回目のトップに輝きました。

 そこで子育て中のパパ・ママ応援サイト「conocoto(コノコト)」の元レポーター、Naoさんに「家にある昆布の写真を送ってください」とお願いしたところ、羅臼昆布に刻み昆布、昆布締め用昆布、とろろ昆布など6種類も写っていました。「富山は引き出物に昆布をもらうことが多いので、結構家にあるものですね。出してみて自分でもびっくりしました(笑)」とNaoさん。

 では、富山の人たちはどんな風に昆布を食べているの? という全国の皆さんの声にお答えするため、まずはコノコト編集室もある北日本新聞社10階のレストラン「つるぎ」をのぞいてみました。富山市の中心部にあり、社員だけでなく近隣のオフィスからも会社員らが訪れます。

 混み合う昼時、調理場では「昆布ひとつー!」とオーダーを伝えるスタッフの声が響いていました。この「昆布」とは、ほどよい酸味がご飯によく合う黒とろろ昆布のおにぎりのこと。

 麺類と一緒に頼む人が多いようです。もちろん、のりのおにぎりもありますが、聞こえてくるのは「昆布ひとつー」の声ばかり。店長に聞くと「9割の人は昆布を頼まれますよ」とのことでした。

 家庭でも、おにぎり、煮物、酢の物、いろんな料理に昆布は登場しますが、子どもから大人までみんな大好きなのが昆布締めです。そこでNaoさんに作り方を教わりました。

 スーパーで買ってきた昆布締め用の昆布は、35センチ×15センチくらいの昆布が3枚入って200円くらい。魚は厚切りのサス(カジキ)とスライサーモンの刺し身を用意しました。作り方は

  • 酢を染み込ませたキッチンペーパーで昆布を拭きます。
  • 昆布の上に、刺し身を並べます。
  • 残りの昆布でふたをして、ラップでしっかり包んでできあがり!

 冷蔵庫に入れて次の日には食べられます。風味付けにショウガやユズ、ミョウガの千切りを散らしてもおいしいそうです。

 そして締めるのは魚だけではありません。Naoさんがおすすめするのは、今が旬の菜の花! サッとゆでて、キッチンペーパーで余分な水分を拭き取り、昆布に挟むだけで簡単です。「こつは、ゆですぎないこと。硬めの方がおいしいです」とのことでした。

 昆布が大好きな富山の食文化の背景には、日本海を中心に江戸から明治期の交易を担った「北前船」の存在があります。富山で米や薬を積み込む一方、北海道から昆布やニシンが持ち込まれました。

 また開拓のため北海道に移った県民も故郷に贈ったそうです。コンブ漁のために北方領土の島々に渡った県民も多く、先の戦争で北方領土から引き揚げた人が多い都道府県は、北海道に続き、富山県が2番目に多いのも、昆布好きが背景にあるようです。

 昆布はカルシウムやカリウム、ナトリウムなどミネラルが豊富で低カロリー。ぜひ旬の味を、富山風に食べてみてはいかがでしょうか。

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