7月14日、択捉島の太平洋側にあるカサトカ湾(単冠湾)で悲劇的な事故が発生した。観光客グループの一人が、観光名所である「悪魔の岩(チェルトフカ)」(※天寧にある)を訪れていた際に転落し、重度の外傷性脳損傷を負った。その怪我が致命傷となり、救急隊が到着する前に男性は死亡した。
サハリン州非常事態省(EMERCOM)の広報によると、緊急通報サービス「112」に事故の報告が入ったのは午後1時8分。クリルスク(紗那)から44km離れた「悪魔の岩」へ、V.A.ポリャコフ捜索救助隊(サハリン非常事態省の傘下組織)の救助隊員、救急隊、および警察官が直ちに出動した。同局の広報によると「現場に到着した救急隊員が男性の死亡を確認しました。現在、警察官が捜査手続きを行っています。非常事態省から隊員3名と車両1台を含む、計7名の要員と3台の車両が派遣されました」
非常事態省は、この観光客グループは適切に登録されていなかったと報告した。関係者が『クラスヌイ・マヤーク』(択捉島の地元紙「赤い灯台」)に語ったところによると、グループは男性1名、女性3名の計4名で構成されていた。初期情報では、全員がモスクワ地域出身とされている。グループは13日に択捉島に到着し、同日にバランスキー火山(指臼山)の温泉を訪れていた。翌朝、一行は太平洋岸へと向かった。カサトカ湾には、雄大な太平洋とその素晴らしい景色、砂浜に埋もれたタグボート「コルンド」号、そして伝説的な「悪魔の岩(チェルトフカ)」など、いくつかの見どころがある。ここは、太平洋に足や体を浸してみたいと願う多くの人々にとって定番の観光ルートとなっている。
「悪魔の岩」では、観光客は通常、洞窟へと案内される。その際、ガイドの話術次第で様々な逸話が語られることもある。時にはそこで泳ぐ人もいる。岸辺は砂地で傾斜も緩やかなため、危険な落とし穴のような予期せぬ事態に遭遇する心配はほとんどない。一般的にツアーには、洞窟への進入(写真や動画の撮影のため)、山を背景に写真が撮れる出口地点での立ち寄り、そして海水に浸かって楽しむ時間が含まれている。希望すればピクニックの手配も可能。食事と休憩を終えた後、参加者は皆、満足した様子で無事に戻る。
観光客が、特に適切な靴も履かずに岩壁を登ろうとする心理は理解しがたい。おそらく、珍しい写真を撮りたかったのだろうが、実際のところは誰にも分からない。
現在、捜査当局は多忙を極めている。手続き上の見直しが進められ、悲劇の目撃者への聴取が行われ、必要な法医学的検査も指示されている。監督機関もまた、多くの課題を抱えている。ツアー会社やガイドに関しては、安全規定、書類の整備、そして観光やツアー活動を行うための有効な許可の有無など、多くの疑問点が指摘されている。この分野では、なすべきことが山積している。
同様に憂慮すべきこととして、近年、観光客が幸運にも一命を取り留めたという事例が少なからず発生している。サハリンから航空機を投入する大規模な救助活動が必要となったケースや、素人ガイドに率いられたグループが遭難し、危うく命を落としかけたケース(まさに現実のサスペンス映画のような出来事だった!)などが思い出される。また、「ホワイト・クリフ(白い断崖)」での事故もあった。クラスノヤルスク出身の観光客が地元のガイドに連れられて「グランド・キャニオン」と呼ばれる場所に入り込み、クマに襲われ重傷を負った。その際、被害者は頭部に重傷を負い、片目を失った。ガイドは有罪判決を受けたが、それによって何かが解決したのだろうか?重要なのは、状況がより安全になったのかという点だ。書類上の手続きが整っているかどうかにかかわらず、こうしたツアーは依然として規制が不十分で、無秩序な状態のままである。もちろん、すべてのツアーがそうというわけではないが、「自分だけは大丈夫」という安易な考え方が目立つ傾向にある。
ちなみに、公式の観光ルートには「ホワイト・クリフ」地域の奥深くまで立ち入ることは含まれておらず、海岸線沿いのみに限定されている。ツアーのリーダーには、観光客に対してこの点を警告し、たとえツアー料金を支払っていたとしても、ルートから外れないよう制止する義務がある。しかし、ガイドは往々にして「お客様は常に正しい」という考え方に縛られ、何が何でも顧客を満足させなければならないと思い込んでしまいがちだ。確かに、中にはツアー代金を払っていることを盾に、何をしても許されるかのように振る舞う、極めて無礼な観光客がいることも事実。もしガイドが顧客に対して毅然とした態度をとれず、弱腰な姿勢を見せてしまったなら、その結果として生じる事態(自分自身に降りかかる不利益も含めて)を甘んじて受け入れなければならない。
「壁に掛かった銃」―誰もが差し迫った脅威だと認識していたあの銃が、ついに発砲されました。そして今回、その傷は致命的なものとなり、40歳の男性が命を落とした。亡くなった方の家族や友人にとって取り返しのつかない喪失であるという、極めて個人的な悲劇にとどまらず、この事件は島の観光産業の評判を傷つける恐れもある。
航空運賃や海上交通費の高騰により、今年、択捉島への観光客数は激減した。地元のホテル経営者は予約が50%減少したと報告しており、他の観光関連事業者の収益も急激に落ち込んでいる。顧客一人ひとりをめぐる競争は激化するだろう。「なんとかなるだろう」という楽観的な姿勢に頼っている人々にとって、「悪魔の岩」で起きたこの悲劇が貴重な教訓となること、そして今後、クリル諸島の観光に関するニュースが明るい話題だけで満たされることを願ってやまない。(択捉島の地元紙「赤い灯台」2026/7/14)




