南クリル諸島(北方四島)の9月初旬は、自然界が大きく変化する時期。国後島や小クリル列島(色丹島と歯舞群島)の島々では、キツネの子どもたちが大きく成長している。巣の近くで無邪気に遊ぶ時期は終わり、若ギツネたちは今や活発に活動範囲を広げている。彼らはオホーツク海や太平洋の海岸を探索し、ササの茂みの中で単独で狩りをする術を学び、自らの狩猟テリトリーを求めて動き回っている。
クリル自然保護区では、キツネは北部の厳しい環境にあるチャチンスキー地区と、比較的温暖な南部のアレヒンスキー地区に一年中生息している。しかし、真の「キツネの王国」と言えるのは、小クリル列島野生生物保護区の色丹島だ。ここにはヒグマが生息していないため、キツネが生態ピラミッドの頂点に立つことができ、色丹島における最大の陸上捕食者として高い個体群密度を維持している。
南クリルのキツネは、ロシアの欧州地域で見られるお馴染みのキツネとは際立って異なる外見をしている。南クリルに生息するキツネは、アカギツネの亜種(Vulpes vulpes schrenckii キタキツネ)に分類される。
身体的特徴として、進化の過程で磨き上げられた「理想の道具」とも言える、長く細い頭蓋骨と大きな歯を持っている。また、淡い赤色を帯びた、落ち着いた色調の独特な毛色をしている。尾の先端の白さはほとんど目立たなすが、足先の真っ黒な「靴下」模様は非常に高い位置まであり、淡い体色の中で際立って見える。さらに、本来の体格もより大型だ。
このような際立った外見は、どこから来たのか?なぜここのキツネは、カムチャツカの鮮やかな赤色をしたキツネとは異なるのか?そして、歴史上の「日本統治時代」は、彼らにどのような遺伝的痕跡を残したのか?この俊敏な島の住人たちの歴史を紐解いてみよう。

南部と北部
クリル諸島はカムチャツカから日本列島にかけて連なっている。キツネが北クリルと南クリルに到達したルートはそれぞれ異なっていた。氷河期には、サハリン、国後島、小クリル列島、そして北海道が大陸とつながっていた。キツネはアムール地方から北海道へと自由に移動でき、やがて亜種キタキツネを形成した。この亜種は南クリル、サハリン島、北海道に生息している。
一方、北千島へはカムチャツカから氷の上を渡って到達した。現在この地域には、カムチャツカの亜種であるVulpes vulpes splendidissima(チシマアカキツネ、ベニキツネ)が生息している。
クリル諸島の中央部に位置する水深の深いブッソル海峡は、凍結することも干上がることもなかった。この海峡は越えることのできない障壁となり、北と南のキツネの個体群は、何千年もの間、互いに隔離された状態で進化することになった。
これら捕食者による列島への最初の定着は自然な形で行われたが、後に人間の活動が「キツネの歴史」という自然の成り行きに介入することになる。

日本統治時代(1875年~1945年)と「島での囲い込み」実験
1875年から1945年にかけて、日本の実業家たちはクリル諸島における毛皮採取を、半放し飼い形式の毛皮飼育を伴う大規模な国家的実験へと変貌させた。日本は、小さな島々が地理的に孤立しているという条件を巧みに利用した。例えば、小クリル列島の一部であるアヌーチナ島(秋勇留島)では、在来のキツネの個体群が排除され、飼育目的で特別に繁殖されたアメリカ産のギンギツネが導入された。この実験は小クリル列島最大の島である色丹島にも及び、そこでは本格的な半放し飼い農場が設置された。1946年以降、日本人が引き揚げて島を去ると、これらの半放し飼いキツネ農場は放棄された。その後、急速に野生化が進んだ。アヌーチナ島のような小さな島々では、餌資源(特に鳥の営巣地)や利用可能な縄張りがすぐに枯渇し、ギンギツネたちはたちまち過密状態に陥った。
厳しい冬が訪れ、島々の間の海峡が凍結すると、アメリカ産のギンギツネたちは小さな島から、より大きな島である国後島や択捉島へと移動した。
そこで彼らは、生き残っていた在来種の南クリル・アカキツネと遭遇した。1960年代には色丹島で「クロスフォックス」(背中に黒い筋が入ったアカギツネ=十字狐)の目撃情報がハンターから寄せられたが、この遺伝的形質が定着することはなかった。その大きな理由の一つは、そうした毛皮が最も高く評価されていたことにある。

北千島
キツネはこの地域へカムチャッカから渡ってきた。この個体群はカムチャッカ亜種から派生したもので、体格は小ぶりだが、亜寒帯の風から身を守るための、驚くほど厚くふさふさとした鮮やかな赤色の毛皮をまとっていた。
厳しい島嶼環境下で数千年にわたる独自の進化を遂げた結果、この個体群はチシマアカギツネ(ベニキツネ)という独自の固有亜種としての地位を確立した。
19世紀、露米会社の時代に入ると、これらの動物の大量捕獲が始まった。北部の個体群には、体色の濃いキツネが高い割合で見られた。これは野生のカムチャッカギツネに見られる自然変異であり、その毛皮は高く評価されていた。体色の濃いタイプは、今日に至るまでこの個体群の安定した特徴として残っている。(クリル自然保護区2026/9/3)


