9月2日、ロシア最南端のラッコ個体群を対象としたクリル自然保護区の調査プロジェクトにおける2回目の遠征調査が完了した。この調査は、国境警備隊の協力を得て「小クリル列島(色丹島と歯舞群島)」自然保護区の海域で実施された。
今回の科学調査は、大統領助成金財団の支援を受けたプロジェクト「クリル国立自然保護区および『小クリル列島』国立自然保護区の境界内における、ラッコの最南端繁殖個体群の調査」の一環として、8月30日から9月2日にかけて行われた。小クリル列島全域にわたる現地調査は、保護区の科学スタッフと2人のボランティアによって実施された。
現地調査のルートと日程:
調査は、「小クリル列島」自然保護区内の主要な島々や海域、およびクリル自然保護区の第3地区を対象に実施された。
・1日目:調査チームは、タンフィリエフ島(水晶島)およびアヌーチナ島(秋勇留島)周辺の沿岸海域で詳細な調査を行った。
・2日目:調査範囲を最大限に広げるためルートを2方向に分けた。一方のグループはユーリ島(勇留島)の一部を調査し、もう一方のグループはデミナ島(春苅島)およびポロンスキー島(多楽島)周辺の海域をモニタリングした。この期間中、ユーリ島がベースキャンプとして使用された。
・3日目:最終段階として、ゼリョーヌイ島(志発島)周辺海域の調査が行われた。

現地調査初日(2026年8月30日、アナスタシア・ポチョムキナ)
科学的知見(予備的結果)
得られた現地調査データは、当該地域のラッコの個体群統計学的構造および生態を理解する上で、重要な科学的価値を有している。
1. 個体群の安定性。記録された個体数は前回の調査時を下回っておらず、調査海域における南部亜集団内の安定した中核的グループが維持されていることが確認された。
2. 繁殖サイクルの特性。観察された雌の大部分が、すでにかなり成長した幼獣を伴っていたことは、重要な科学的知見だ。秋の訪れまでに幼獣が著しく成長していたという事実は、この生息域におけるラッコの繁殖の正確な時期や動態について、貴重な新たな知見をもたらすものといえる。

子を連れたメスのラッコ(2026年8月31日、ミハイル・ラギモフ)
「今回の遠征では、重要な野外データが得られただけでなく、私たちに鮮烈な印象を残す体験ができました。研究者として全く新しい視点を得られたこと、そして志を同じくする仲間と共に、濃密な野外調査の日常にどっぷりと浸かるという貴重な機会に恵まれたことなど、このプロジェクトは実に魅力的な経験でした」と、クリル自然保護区の科学担当副所長代理セルゲイ・ステファノフ氏は語った。

野外でひと休み(2026年8月31日、ミハイル・ラギモフ)
収集されたデータは、「レッドブック(絶滅危惧種)」掲載種ラッコの長期モニタリングの基礎となり、最終報告書の作成にも活用される。(クリル自然保護区ウエブサイト2026/9/4)

子を連れたメスのラッコたち(2026年9月1日、ミハイル・ラギモフ)

モニタリング業務(2026年8月30日、アナスタシア・ポチョムキナ)

作業完了!( 2026年9月2日、アナスタシア・ポチョムキナ)

