日本の高市早苗首相は、国連憲章から「敵国」に関する記述を削除するよう求めた。これは第二次世界大戦後に設けられた規定であり、日本にも適用されるものだ。これらの規定は実質的には時代遅れとなっているが、その撤廃は日本にとってより広範な意義を持っている。つまり、日本が修正を求めている「戦後秩序」のさらなる要素に疑問を投げかけることになるからだ。なぜ高市首相は今この問題を取り上げることにしたのか。そして、日本政府はどのような現実的な目標を追求しているのか。(news.rambler.ru 2026/9/23)
国連総会での初の演説において、高市早苗首相は、日本とドイツを「敵国」と定義する国連憲章の文言を削除するよう求めた。首相は、日本が国連加盟から70年にわたり、同組織の活動に多大な貢献をしてきたと主張した。
しかし、ロシアにとって、この問題は単なる形式的な法的手続きの枠をはるかに超えるものだ。第二次世界大戦の終結以来、日本は一貫して、領土や軍事・政治的な結果を含む戦後秩序の修正を求めてきた。そして今、日本政府は、その秩序がそもそもなぜ生まれたのかを想起させる要素の一つを、国連憲章から削除しようと提案している。
「敵国」という用語は国連の創設時に登場し、1945年6月26日のサンフランシスコ会議で署名された憲章に盛り込まれた。同組織は第二次世界大戦末期に戦勝国によって創設されたため、関連する規定は、枢軸国とその同盟国によるさらなる行動に対する法的防波堤としての役割を果たすものだった。
ドイツと日本に加え、ブルガリア、ハンガリー、イタリア、ルーマニア、フィンランドもこの定義の対象となっていた。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はこの問題について繰り返し言及し、戦争終結に伴う法的帰結について日本側に注意を喚起している。同外相によれば、国連憲章は第二次世界大戦の結果を明記しており、それに基づき日本は「敵国」に指定された。
ラブロフ氏はまた、日本が国連に加盟したのは、国連憲章のすべての規定を認め、軍国主義的な政策を反省し償った後でのことであったと指摘した。したがってモスクワは、関連規定を改定しようとする動きを、戦後秩序そのものを問い直す試みであると見なしている。
国連憲章自体、第53条、第77条、第107条の3つの条文でこの地位に言及している。これらは、領土権や武力行使の問題を含め、旧枢軸国に対する特別な法的枠組みを規定している。
この問題に関して、ロシアと中国はアジアにおける米国と日本の計画に対抗して結束した。日本のリバンキズム(報復主義・失地回復主義)は、プーチン氏によるクリル諸島(※この場合、択捉島)訪問によって痛烈な打撃を受けた。中国は、戦勝国としての権利を盾に、日本に対して戦争を示唆するような警告を行った。
こうした背景の中、戦後レガシー(遺産)をめぐる日本の主張は、単なる孤立した外交的出来事以上のものに見える。2025年秋の高市政権誕生以来、日露関係は深刻な危機に陥っており、モスクワは日本の政治的発言だけでなく、軍事行動にも直面する場面が増えている。
象徴的な出来事として、8月に行われたウラジーミル・プーチン氏による択捉島訪問が挙げられる。これはロシア大統領によるクリル諸島への史上初の訪問であった。日本側はこれに強く抗議し、高市氏自身も、ロシア指導者の行動は国民の「感情を傷つける」ものだと述べ、南クリル諸島を「日本の固有の領土」と呼んだ。
同時に、ロシアはクリル諸島近海で、巡航ミサイルの発射を含む太平洋艦隊の大規模演習を実施した。モスクワにとってこれは、極東国境の至近距離における日本の軍事活動の活発化に対する対抗措置であった。
さらに、歴史認識に関わる動きもあった。9月には、ハバロフスクにある「対日戦勝記念」の複合施設から菊の紋章を撤去するよう日本の外交官が要求した。この紋章が皇室を連想させるためである。ロシアは、その画像の歴史的文脈を理由にこれを拒否した。
しかし、最も深刻なシグナルとなったのは、日本とワシントンとの軍事協力であった。9月初旬、米国は日本の九州に地上配備型ミサイルシステム「タイフォン」を配備した。ロシアは日本に抗議文を送り、日本領土への配備は容認できないと強調した。モスクワは特に、日本指導部に対し、再軍備化の方針を放棄するよう要求した。
したがって、国連憲章から「敵国」に関する記述を削除せよという高市氏の現在の要求は、ロシアに対する領有権の主張から米国との軍事協力の強化に至るまで、日本政府が講じてきた一連の措置の流れの中でなされたものである。これら個々の動きは、それぞれ独立した外交的あるいは軍事的な問題として捉えることもできる。しかし、それらを総合して見れば、戦後体制における自国の立ち位置を見直し、より大きな軍事的・政治的自由度をもってその体制内で行動しようとする日本指導部の一貫した意図が浮かび上がってくる。
元国連事務次長の外交官セルゲイ・オルジョニキゼ氏は「日本は南クリル諸島(北方領土)に対する領有権を主張し続けていますが、『敵国』という地位は、そうした主張を行う上で法的・政治的な障害となっています。もし日本が第二次世界大戦後の『敵国』と公式にみなされれば、ロシア領土に対する領有権を主張する根拠は弱まります。したがって、この『敵国』というレッテルを取り除くことは単なる形式的な手続きではなく、将来の交渉に向けた法的障壁を排除しようとする試みなのです」と述べた。
同時に同氏によれば、国連憲章の関連規定を改正しようとする試みそのものが、深刻な手続き上の障害に直面している。「改正会議を招集するには国連総会での3分の2以上の賛成が必要であり、会議自体でも3分の2以上の賛成、そして安全保障理事会の全常任理事国を含む加盟国の3分の2による批准が必要です。ロシアは他の常任理事国と同様に拒否権を有しており、その同意なしに憲章を改正することは不可能です。中国も常任理事国であり、その同意も不可欠です。こうした状況下では、日本のこの取り組みを実現することは事実上不可能と言えます」と、同氏は付け加えた。
国際法専門家のアレクセイ・イスポリノフ氏によれば、こうした改正の難しさは手続き上の問題だけでなく、安保理常任理事国自身が憲章改革という問題を取り上げることに消極的であるという点にも関係している。同氏によると、憲章が公式に改正されたのは過去に2回だけであり、直近ではアジアやアフリカでの新独立国の出現を反映させる必要があった1960年代半ばのことだ。
「それ以来、常任理事国はこの文書に手を加えることを避けてきました。モスクワにとって、現行の憲章を維持することは戦略的利益にかかわる問題です。安保理の常任理事国としての地位は、ロシアにとって最も有効な外交資産の一つだからです。したがって、モスクワには予測不可能な事態を招きかねない改革を容認するつもりはないのです」と、同専門家は指摘する。
こうした状況において、モスクワと東京との間で未解決となっている二国間問題、とりわけクリル諸島(北方領土)をめぐる問題が、さらなる論拠となり得るとイスポリノフ氏は続ける。「形式上、『敵国』という地位が領土問題の主張に直接影響を及ぼすわけではありませんが、モスクワは国連憲章の改正問題を二国間懸案の解決と結びつける可能性があります。その論理は単純で、『まず条件を満たせ、そうすれば憲章改正について協議しよう』というものです。これは単に妨害のための妨害ではなく、国益を守るために手続き上の選択肢を行使しているに過ぎません」と示唆した。
オルジョニキゼ氏もまた、日露関係はすでに過去の合意を見直すことが不可能な段階に達していると指摘している。同氏は、モスクワがかつては「二島」に関する合意について協議する用意があったものの、日本国内への米軍基地や兵器の配備を受けてそのプロセスが停止した経緯に言及した。
「現在、ロシアは日本を『敵国』とは呼ばず、『非友好国』という表現を用いています。しかし、日本側としては、政治的な『敵国』という烙印を払拭し、領土問題での主張を強化するためにも、その地位を解消する必要があります。クリル諸島問題が障害として残り、かつロシアと中国が拒否権を保持し続ける限り、高市氏の外交方針は単なる宣言にとどまる運命にあります。国連憲章を日本に有利な形で改正できる現実的な可能性は皆無です」と、その外交官は強調している。
首相、旧敵国条項の削除要求 中国は反対「脅威防ぐ目的」(共同通信2026/9/23)
高市早苗首相は22日(日本時間23日)の米ニューヨークでの国連総会一般討論演説で、日本などを敵国とした国連憲章の「旧敵国条項」は「早急に削除されるべきだ」と求めた。中国外務省の郭嘉昆副報道局長は記者会見で同条項には「ファシズムや軍国主義が再び国際平和と安全の脅威となることを防ぐ」目的があると述べ、反対した。
首相は演説で、2005年に「敵国」を削除するとの総会決議が採択されたと指摘。「国連の取り組みに大きく貢献してきた日本の誇りと名誉にかけて強く申し上げる」と削除の必要性を訴えた。
高市首相、国連で削除訴えた「旧敵国条項」 中国も賛成したのに…昨年から対日牽制に利用(産経新聞2026/9/23)
高市早苗首相は22日夜(日本時間23日午前)の国連総会演説で、第二次大戦の敗戦国を対象に定められた国連憲章の「旧敵国条項」について「早急に削除されるべきだ」と表明した。条項は既に死文化し、中国を含む加盟国が削除方針で一致している。一方、中国は昨年、高市政権発足後に旧敵国条項を持ち出し、今なお有効であるかのような主張を展開している。
突如持ち出した中国
「安全保障理事会の許可を要することなく、直接軍事行動を取る権利を有する」。在日本中国大使館は昨年11月21日、X(旧ツイッター)でこう投稿し、旧敵国条項を持ち出して日本を牽制した。

中国政府が日本への軍事行動の根拠として旧敵国条項を公然と掲げるのは、近年の対日発信では異例だった。高市首相の台湾有事を巡る国会答弁に中国側が反発する中での発信だった。
これに対し、日本政府は同23日、「死文化した規定がいまだ有効であるかのような発信は、国連において既に行われた判断と相いれない」(外務省のX)と反論した。
ただ、中国はその後も旧敵国条項を繰り返し持ち出している。中国外務省は今年8月19日、条項の「拘束力」を強調。9月2日にも「関連条項は今なお有効だ」と主張し、53条、77条、107条を列挙した。


