国後島のクナシルスキー海峡(国後島北部の根室海峡)沿岸での調査活動中、ボランティアとクリル自然保護区の国家検査官ミハイル・ラギモフ氏が、海岸に打ち上げられたクジラの肋骨を発見した。当初、その肋骨はありふれたものに見えたが、後に検査官がその特異な形状に気づき、専門家に写真を送ったところ、このクジラは船舶と衝突したことが判明した。海岸に打ち上げられたクジラの肋骨は、こうした海の巨獣たちが直面する大きな脅威、すなわち船舶との衝突リスクを如実に示す証拠となった。

発見された骨の写真を詳細に検討した後、モスクワ国立大学(MSU)生物学部の研究員であり、数多くのクジラ類調査遠征に参加してきた経験豊富な研究者イワン・フェドゥチン氏が、その資料の科学的価値について次のようにコメントした。
「特徴的な変形と巨大な仮骨(骨折治癒過程で形成される組織)から判断すると、これは古い骨折の跡です。大型船との衝突を生き延びたクジラによく見られる損傷です。衝突の衝撃は凄まじいものでしたが、その個体は骨を再び接合させることで治癒に至ったのです。こうした発見は、単なる死亡事例だけでなく、クジラという動物の驚くべき回復力や生命力を記録する上でも重要です。ザトウクジラのような大型のヒゲクジラは、交通量の多い航路沿いの表層で採餌することが多いため、特にこうした事故に遭うリスクが高いのです」
船舶と海洋哺乳類の衝突(いわゆる「シップ・ストライク」)は、これらの動物にとって最大の脅威の一つとされている。巨大な船舶側は衝突の衝撃をほとんど感じないため、こうした事故の多くは気づかれないまま終わってしまう。

なぜこのようなことが起きるのか?
航路の交差:クジラの回遊ルートや採餌場所は、交通量の多い船舶航路と重なっていることがよくある。
「音響の影(アコースティック・シャドウ)」効果:水中での音の伝わり方や船のプロペラから発生する騒音の影響で、クジラは接近する脅威の方向や速度を正確に把握できないことがある。
高速航行:船の速度が速いほど、動物が回避する時間は短くなり、衝突時の衝撃はより壊滅的なものとなる。
クジラの死亡数を減らすため、科学者たちは一連の対策を提案している。
1. 海洋生物が集まる海域での、10ノット(時速18.5km未満)への速度制限の義務化。これにより、致命的な衝突事故のリスクを80~90%低減できる。
2. クジラにとって重要な海域を避けるための、季節に応じた航路の変更。
3. 監視システム(熱画像装置、音響ブイ、航空監視など)を活用し、付近にいる海洋生物に関する情報をリアルタイムで船長に通知すること。
クリル自然保護区は「こうした損傷を負った骨は、単なる漂着物や博物館の展示品ではない。それらは人類に対する無言の告発であり、私たちが海を利用する以上、そこに本来生息する生き物たちを尊重する義務があることを思い出させる存在なのです」と話している。
※本資料は、イヴァン・フェドゥティン氏から提供された情報に基づいている。(tia-ostrova.ru 2026/7/17)



