サハリン州議会のスポーツ・観光・青少年政策委員会は、「ソビエト国民に対するジェノサイドの犠牲者の追悼に関するサハリン州当局の特定の権限について」と題された法案を審議した。今年1月、連邦法「1941 年から 1945 年にかけての大祖国戦争におけるソ連人民の大量虐殺の犠牲者の記憶の永続化について」(連邦法第74-FZ号)が施行された。しかし、これらの連邦規定はサハリン州には適用されないことから、その解決策を提示するものだ。
※連邦法は「1941 年から 1945 年にかけての大祖国戦争中のナチスとその共犯者による行為」を、「ソ連国民の虐殺」として定義しているため、日ソ戦争が含まれておらず、サハリン州には適用されないということのようだ。
法案を起草した同州青少年問題局のアナスタシア・コジェペンコ局長は「連邦法第74-FZ号は、第二次世界大戦(ソ連・日本戦争を含む区分)ではなく、大祖国戦争(ナチスドイツとの戦争)中のソビエト国民に対するジェノサイドの犠牲者の追悼を対象としています。一つの選択肢として、法の歴史的適用範囲を拡大し、ソ連・日本戦争を含めるよう国家院(下院)に改正案を提出することも考えられます。現在、サハリン州の領域は大祖国戦争中にソビエト市民に対するジェノサイドが発生した場所としては認定されていません。私たちが現在進めているもう一つの道は、連邦法に基づいた州法を制定することで、歴史的正義を回復することです」と説明した。
この法案の下で、サハリン州政府は、記憶の継承に関する規制的法的文書の採択、所管執行機関の指定、および連邦法や州法に基づくその他の権限行使を行う権限を与えられる。同州がすでに所管機関として指定している青少年問題局は、より広範な機能を担うことになる。これには、規制の起草、記憶継承活動の企画・実施、未埋葬の遺骨の埋葬や埋葬地の移転に関する決定、そしてあらゆる政府機関との調整などが含まれる。この法案はまた、当該連邦法の規定をサハリン州の他の行政機関(教育省、文化・公文書局、スポーツ省、デジタル・技術開発省)にも適用することを盛り込んでいる。これは、祖国防衛のために命を捧げた人々の記憶を後世に伝えることに関連する特定の機能が、すでにこれらの機関の所管業務に含まれているためだ。
特筆すべき点として、サハリン州内の自治体では、すでにこの分野での実務的な取り組みが始まっている。例えば、2026年8月には、択捉島のクリル地区およびドリンスク地区において、ソビエト国民に対するジェノサイドの犠牲者の記憶を後世に伝えるための規定が採択されている。(択捉島の地元紙「赤い灯台」2026/9/22)
外国の立法 No.304-1(2025.7) 国立国会図書館 調査及び立法考査局
【ロシア】第二次世界大戦中の民間人犠牲者に関する規則の制定
2025 年 4 月 21 日、第二次世界大戦中の民間人犠牲者に関する新たな規則を定める連邦法第 74 号「1941 年から 1945 年にかけての大祖国戦争におけるソ連人民の大量虐殺の犠牲者の記憶の永続化について」(以下「連邦法第 74 号」)が制定され、2026 年 1 月 1 日から施行されることとなった。
(1)ソ連国民に対する「虐殺」について
連邦法第 74 号は前文と全 17 か条から成る。第 1 条第 2 項は、「ソ連領土に居住する国民的、民族的、人種的集団の完全又は部分的な絶滅」及び「これらの集団の構成員を殺害し、健康に重大な危害を加え、出産を強制的に阻止し、子供を強制的に移送し、(構成員を)強制的に移住させること」等を目的とした「1941 年から 1945 年にかけての大祖国戦争中のナチスとその共犯者による行為」を、「ソ連国民の虐殺」として定義した。「虐殺」の犠牲者に関する「記憶の永続化」の手段としては、①遺骨の埋葬及び再埋葬、②埋葬地が不明な犠牲者の捜索活動、③記念建造物や博物館等の建設、④書籍やホームページ等への掲載、⑤芸術作品や文学作品の創作、⑥科学研究の実施、⑦教育プログラムの開発、⑧ナチスのイデオロギーを正当化するプロパガンダへの対抗という合計 8 項目が定められた(第 2 条)。


