プーチン氏の北方領土訪問から1か月、政府は強硬な対抗措置封印「効果見込めず」「打てる手は全て…」

日ロ関係

 ロシアのプーチン大統領が北方領土の択捉島を初めて訪問してから、13日で1か月となる。ロシアは挑発行為を繰り返し、日本政府は露側に抗議しているが、対立に拍車がかからないよう、強硬な対抗措置は封印している。与党からは実効性のある対応を取るよう求める声も出ている。(読売新聞2026/9/14)

 茂木外相は11日の記者会見で、プーチン氏訪問への対抗措置として駐露大使の一時帰国を検討しているかを問われ、「考えていない」と述べた。追加措置にも踏み込まず、「様々な機会を捉え、露側への働きかけを強化したい」と語った。

 露側はプーチン氏の訪問後、択捉島周辺でミサイルの発射演習を実施したと発表。今月4日には極東ハバロフスクで、旧ソ連兵が菊の紋章の刻まれた標石を破壊する姿を表した対日戦勝記念碑を設置した。

ロシアの挑発行為を巡る日本側の対応と思惑

 日本政府は露側の相次ぐ挑発行為に抗議しているが、強硬措置には踏み切っていない。2010年に当時のメドベージェフ露大統領が国後島を訪問した際は、駐露大使を一時帰国させた。政府内ではプーチン氏訪問への対抗措置として大使召還が一時検討されたが、「ロシアの態度を変えるほどの効果が見込めず、事態を悪化させる」(外務省幹部)と判断し、見送った。

 ロシアが22年にウクライナを侵略して以来、経済制裁を強化してきたことも影響している。政府関係者は「打てる手は全て打った」としており、効果的な措置を見いだしにくい状況だ。

 ロシアとのパイプをつなぎとめたい思惑も透ける。今年5月、中東情勢の悪化を受けたエネルギーの調達先の多角化に向け、経済産業省幹部らが訪露した。石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で産出される液化天然ガス(LNG)や石油の輸入を増やす狙いがあったとされる。8月中旬には7年ぶりにロシアへの大学生らの短期派遣事業を再開させた。

 自民党からは、ロシアの挑発行為を巡り、「(政府は)遺憾の意を表すだけではなく、具体的にどう対処するのか示すべきだ」(高木啓・外交部会長)と注文もつく。安倍政権時代の日露経済協力のような交渉材料も乏しく、政府は今後も難しいかじ取りが求められそうだ。

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